247話 狡猾。
247話 狡猾。
センエースのことを理解しているわけではないが、
センエースの『狡猾さ』に関しては、そこそこ理解が出来ている様子のガリオ。
(……すでに、こいつには、過剰な褒美を与えているが……しかし、そこは、おそらく、『今回のアンデッドが想像以上に強いから、上乗せを要求するのは当然』という理論で、追加報酬を要求してくるだろう。そうでなければ、『アンデッドが強い』ということを、ここまで推さないだろうからな)
頭の中で、センエースが繰り出してくるであろう論理と向き合っていくガリオ。
根が臆病者で慎重なガリオは、諸々の枝葉を、とことん考え抜いた上で、
(……ここで『たかが数匹あたえるぐらい、いいか』と、こいつのワガママに流されてしまえば、今後も、ずっと、ずるずると、要求が増えていくだろう。ここらでキッチリと引き締めないと……)
という結論を出すと、
センに、
『いいだろう……今回の対アンデッド戦で、カラルームの魔人を使うことを許可してやる。しかし、指揮権・運用権はヒークルのまま。あくまでも、お前には、一時的に、魔人の指揮権の一部をあたえるだけ。アンデッドを倒したあとは、その部分的な権利も完全に剥奪する。カラルームの魔人は、ヒークルのもの。よいな』
「よくないですねぇ」
『なにがだ。なにがよくない』
「最終的に、カラルームの魔人は、俺の下につけていただきます。それを、今回の報酬としてもらいたい」
(やはり、そうきたか……)
予想がついていたガリオは、
冷静に、頭の中でロジックを整えて、
『強欲がすぎる。貴様はすでに、我が息子パルカから、5人ほど下賜されているはずだろう。クロッカも、貴様へのプレゼント用に、10人ほど、魔人を集めていたはず。そして、この私も、貴様に、【直属十七眷属が支配している魔人】をくれてやると約束している。それだけではない。魔人の地位向上も約束してやった。魔人に対する過剰な迫害に対しては、正式に罰則を設けることを、龍法として定めてやると。……それだけの過剰すぎる恩赦をもらっておきながら、まだねだるなど……許されることではない』
「もう一度言いますが……この街を襲っているアンデッドの強さは想定以上です。ガリオ様でも、単騎では勝てるか微妙なレベルです。御疑いになるのであれば、本当に、試してみてください。私は一切嘘を申しておりません」
センのトーンが変わる。
先ほどまでの、謎のノリは掻き消え、
ガチガチのトーンで意見を述べてくる。
だから、
『……』
ガリオは、渋い顔で黙って聞く事しかできない。
「このまま、あのアンデッドを放置していれば、大きな損害が出ます。やるなら徹底的に、『大きな痛みを伴うこと』を覚悟で特攻をしかけるしかありません」
『……』
「さっきも言いましたが……正直ここに来る前は、俺なら楽勝で殺せると思っていましたよ。だから、追加報酬については考えていませんでした。あなた様は、確かに多くの約束をしてくださった。私はそのことを正式に、ありがたく受け止めておりますよ」
『……』
「普通に倒せる相手だったら、そのままサクっと倒して、優雅に勝利報告をしていたでしょうけど……あのアンデッドは、ガチでえぐい。底が見えない。倒そうと思えば、命を賭す必要がある。だから、報酬の上乗せを要求する。働いた分だけの報酬を要求するのは当然の話。……この街の魔人を配下にし、そいつらを鍛えて、どうにか撃退する。その報酬として、魔人たちの支配権をそのままもらいたい」
センのまっすぐな提案に対し、
ガリオは、少しだけ考えてから、
『……では、そのかわり、私直属の十七眷属が支配している魔人はやらないぞ』
「そちらも、もらいます。追加報酬を要求すると言っているでしょう。報酬の変更を要求しているわけではありません」




