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246話 養殖している魔人の権利。


 246話 養殖している魔人の権利。


 まくしたてるマシンガントーク。

 息もつかず、相手に息ものませない閃光。


 怒涛の勢いで現状の報告を続けた上で、


「というわけで、この街にいる魔人たちを俺の『ファンネルオプション』件『肉壁』して活用させてもらうことと相成りました! 別に必要ないかなぁ、と思ったのですが、一応、飼い主であるガリオ様に、そのことを報告させていただいた次第であります! うっす、うっす! ご清聴ありがとうございました! では!」


 勢いのまま、通信の魔法を切ろうとしたが、

 そこで、ガリオが、


『待て待て』


 と、切りこんできた。

 部下の糞長報告を、案外、ちゃんと聞いているタイプの上司。


 センは、チッと軽く舌打ちしつつ、


「どうしました、偉大なるガリオ様。何か不明な点でも?」


『勝手なことをするな。カラルームの街で養殖している魔人の管理は領主であるヒークルの担当だ。その権利を勝手な判断で奪うな』


「奪うだなんて、人聞きが悪い! 俺は、ただ、この街の魔人にも協力してもらわないと、倒せないぐらい、噂のアンデッドが強力な相手だとお伝えしたかっただけですよぉ。この街で培養されている魔人は、そこまで質が高くないですが、肉壁ぐらいにはできそうだったので、使ってやろうかなぁ、と」


『ダメだ。許可しない』


「では、どうしろと? アンデッドに突っ込んで死ねと?」


『ヒークルと、その配下の部隊に協力を要請しろ。貴様が最前線で特攻を担い、そのサポートを、ヒークル部隊に任せれば勝てるだろう。わざわざ魔人を使う必要などない』


「あ、無理です、無理です。普通に戦力が足りません。何度も言いますが、今回のアンデッド、めっちゃ強いですよ。ガリオ様でも、普通に苦戦するレベルです。御疑いなら、一度、御足労願います。で、実際、やってみてください。鬱陶しいですよ、あのアンデッド」


『……そこまでヒマではない。私は忙しい』


「ですよね。わかっています。である以上、無駄に面倒事を抱えたくないですよね? もし、カラルームの街の防衛能力が低下したら、また一つ、無駄なことで頭を悩ますことになってしまいますよ。ヒークル様の部隊と連携してアンデッドにあたるという、その作戦……そりゃ『勝てる可能性がゼロ』とは言いませんけど、ヒークル様の部隊の何人かが確実に死にます……というか、最悪、全員死にます。ヒークル様ふくめての話ですよ。それだったら、使い捨ての魔人を使った方が費用対効果的に絶対、上でしょう? 魔人なんか何人死んだっていいんですから。ヒークル様や、ヒークル様が抱えている精鋭部隊が死傷するのと、下賤な魔人が死ぬの。どっちがいいです? 俺、普通に、合理的な案を提出させてもらっているつもりなんですけど。その辺、ガリオ様的にどうです?」


『……』


 ガリオ的にも、もちろん、ヒークルの部隊を損耗させるより、使い捨ての魔人を使った方がよいと考えている。

 なんだったら、センが言う通り、こんな時のための『肉壁』として、魔人を養殖しているのが事実。


 本来であれば、むしろ、ガリオ側が率先して、魔人を使い捨てにしていくところ……


 ただ、今回に限って言えば、その判断を即座に下すことが難しい。

 理由はたった一つ。

 センエースからの提案だから。


 通信魔法の向こうで、

 ガリオは頭を悩ます。


(……こいつの言うことは、実際、そこまで間違ってはいない。だが、安易に、こいつへ、魔人をあてがっていいものか……)


 頭の中で『先の展開』を推測していくガリオ。


(……こいつが、次に何をしたがっているかは、もうだいたい予想がついている……アンデッドとの闘いの中で、魔人を運用し、『使い勝手が良さそうなヤツ』を選別しようとしているのだろう。そして、アンデッドとの闘いで勝利した暁には、追加の褒美として、『選別試験をクリアした魔人』をねだってくる。……これまでそうだったように……)



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― 新着の感想 ―
センの交渉術、相変わらずキレッキレで最高です! 「費用対効果的に絶対上でしょう?」と、 上司(ガリオ)の痛いところを突いて、 強引に自分の目的(魔人の選別)を通そうとする 周到さがたまらない!
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