245話 王にだけは絶対になりたくない。
245話 王にだけは絶対になりたくない。
「俺なら、間違いなく、この世界を変えられる。だから、黙ってついてこい」
あまりにも大きなセンエースの輝きを前にした魔人たちは、みな、その場で、片膝をついて、王への忠誠心を見せた。
「……」
彼・彼女らの神妙な態度に対し、
『めんどくせぇ』という想いが、正直、だいぶあったものの、
しかし、センは、
「良い態度だ。それでいい」
自分の『責任』を果たそうとする。
これまで以上に、
これからも。
★
『D地区の魔人』を正式に『自らの配下』として認定したセンは、
魔人たちに命令を下した。
『――今日、お前たちが得た【俺に関する情報】は、もれなく全部隠しておけ。俺の力は、全面戦争の日がくるまで秘密にしておく。その意味ぐらい、わかるだろ? 【切り札】の情報は隠しておくべきだ。俺は強いが……龍神族もそこそこ強い。龍神族の『秘密の宝物庫』には、だいぶヤバいアイテムもあるらしいしな。そのヤバいアイテムを乱用された上、絶死のアリア・ギアスを積まれたりしたら、大ケガを負う可能性がある。流石に負けることはないだろうが、損耗の可能性は十分にある。……被害を最小限に抑えた上で、確実に、上級国民を皆殺しにするために、俺という秘密兵器は、限界ギリギリまで隠しておく』
などと供述しているが、
実際のところは、
『王として祭り上げられるのが鬱陶しいから、なるべく秘密にしておきたい』
……というのが本音。
王の職務は、すべて、クロッカに丸投げして、
自分は悠々自適、気ままに、孤高に、自由に、強さを追い求める修羅でありたい……というのが、センのガチ本音。
だが、彼・彼女らに、そんな本音をぶつける意味も特にない……
というか、そんな本音をこぼそうものなら、
忠誠心が爆上がり中の魔人たちが、
『是が非でも王になっていただく。あなた様こそが王にふさわしい。大いなる力には大いなる責任が伴う』
などと言ってくる可能性もある。
……というか、転生する前に、そんな感じの事があった。
弱い命は、強者に対して『責任』を求めるもの。
それを『悪い』というつもりは毛頭ない……というか、センも同じ気持ち。
しかし、『鬱陶しい』と思ってしまうのもセンのリアル。
『学級委員長なんか誰だって嫌だろ? 好き好んでやっているやつはキチ〇イ』――それが、センエースの独自理論。
――ということで、
『納得しやすい』であろう『センエース秘密兵器論』でお茶を濁していく。
センの思惑通り、
魔人たちは、センの言葉に納得し、
『センエース』という秘密兵器が、『実は、圧倒的世界最強である』という事実を隠してくれると約束してくれた。
魔人たちと秘密の約束をしてから、
センは、即座に、ガリオへと、通信の魔法を繋ぐ。
「どーもー、ごぶさたでーす! って、そんなご無沙汰でもないですかねぇ! ちょっと前に出撃したばっかりですもんねぇ! はっはーっ」
と、元気に、あえて空気を殺す挨拶をぶちかましていくセンエース。
そんなセンの鬱陶しい事この上ない挨拶に対し、
ガリオは、イラつきを隠さず、
『何の用だ……わざわざ通信の魔法まで使って……』
「いやぁー、実はですねぇ! 仰せつかった、『カラルームの街に出現したアンデッドの討伐』ですが、だいぶ、難航しておりましてねぇ! というのも、この街を襲っているアンデッドが強いのなんの! いやぁ、びっくりしましたよ! カワイイ顔しているんですが、魔力もオーラも桁違い! ご存じの通り、俺って、だいぶ強いので、ぶっちゃけ、アンデッドの一匹や二匹、楽勝かなぁ、と思っていたんですが、甘かったですねぇ! 世の中には、想像以上に強いやつが仰山おりますわ! まいった、まいった!」




