242話 プライドにかける。
242話 プライドにかける。
「それなりにスペックが高く、根性が人一倍だった……だから、お前は、今、ゲロを吐いて、のたうち回っている。理不尽な話じゃねぇか。才能があって、頑張った結果が、これ。人生ってのは、本当に、思った通りにいかないものだよな。それが楽しいっていうやつもいるが、俺はそうは思わねぇ。思った通りにいった方が面白いに決まっている」
「う……ぐ……」
ツカは、ゲロを吐きながらも、
どうにか立ち上がり、
「っ……うぅ……」
また、拳を握りしめた。
ダメージが大きいせいで、先ほどよりも、目に光がない。
このままだと死ぬとはわかっていても、
流石に力量差がハンパなさすぎて、
心の抵抗力が低下している。
センエースという膨大な壁を前にして、
いつまでも戦意を保っているのは難しい。
そんなツカの心の流れまで、完璧に読み取ったセンは、
あえて、そこで、ニタリと、黒く微笑んで、
「……お前のスペックはおおよそ理解した。なかなかの器だ。俺はお前を認めたね。……というわけで、ここで、お前に、大チャンスをくれてやろう」
「……ぇ」
「もし、俺に一撃を入れることが出来たら……お前以外の、全員を助けてやる」
「……全員……」
「そうだ。お前以外な。……逆に、お前が、俺に一撃いれることができなかったその時は……お前だけを、俺の奴隷にする。もちろん、ただの奴隷じゃなく、性奴隷だ。俺は、幼女じゃないと燃えないタチでな。お前ならアリだ。だいぶ激しく攻め立てるが、しかし、生きてはいられる。それだけでも儲けものだろ?」
「……」
「つまり、お前は何もしないのがベスト。そうすりゃ、お前だけは生き残れる。この約束は絶対に守ってやるよ。俺みたいなうそつきの発言は信じられないかもしれないから……そうだな……じゃあ、プライドにかけよう。俺の誇りにかけて、俺は、この約束を絶対に守ると誓う。この約束を破った時、俺の中にあるプライドは意味と価値を失う。プライドが高い俺にとって、それは、何がなんでも避けたいこと」
「……」
「さて、状況が理解できたかな。ツカよ。お前の拳には、およそ20人分の命がかかっている」
「……」
「お前には大きな責任がある。そして……その責任を果たせたとしても、お前は死ぬ。どうだ、この理不尽。希望の中にある絶望。心がグチャグチャになるだろう? このイカれた状況の中で……さあ、お前は何をする? あえて何もせず、俺の性奴隷になるか……それとも、死ぬ気で踏ん張って、他の全員を救い、自分は殺されるか。さあ、お前はどっちを――」
「あんたの……」
「ん?」
「あんたの相手なんか、死んでもごめんだ……」
そう言うと、
ツカは、自分の中にある全部を沸騰させようと、
「……この数秒だけでいい……だから――」
世界に宣言しようとした。
それを見たセンは、慌てて、
「絶死のアリア・ギアスを使ったら失格とするぅうう!!」
ツカの覚悟の決まる速度が速すぎて、つい、みっともなく、ドタバタしてしまったセン。
本当なら、最初から最後までずっと瀟洒にいきたかったのだが、
「いいな! 絶死は使うなよ! それを使った瞬間、ここにいる全員死ぬぞ! 問答無用で殺す! 絶死を使わなければ、さっき言った約束を守る! お前か、お前以外の全員、どちらかは生き残れる! わかったな!」
「……」
慌てるセンを見て、
そこまで嫌がるなら絶死を使ってやろうか、
とも思ったツカだが、
(……絶死のアリア・ギアスを使えば……全員殺す……か。この性格が終わっている男なら……やりかねない。正直、絶死を使っても……私では、この男を殺しきれない……多少のダメージを与えることはできるだろうけど……それだけじゃ意味がない……最悪の結末になるだけ……)




