241話 えげつない才能。
241話 えげつない才能。
そこで、センは、両手を広げて、天を仰ぎ、
「そう! この世は、強さこそが全て! 強ければ何でも手に入るからな! でかい家! いい女! うまい酒!」
などと供述するセンを、
ツカは、血走った目で睨みつけ、
「だったら……」
「あん?」
「私が……あんたの力を超えてやる……」
そこで、ツカは、両手に魔力を集めていく。
とても、六歳児とは思えない、とんでもない迫力。
この地獄を見てきた彼女の怒りは計り知れない。
「奪われる側の痛みを思い知れぇええ!!」
完全にブチギレて、リミッターが外れたツカ。
本来、彼女のMAXは『鬼毒ランク4』なのだが、
この瞬間、彼女の中で、何かが弾けた。
「覇鬼毒ランク5!!!」
限界を超えた一撃が、センを襲う。
とてつもない波動。
十七眷属の中堅どころである『ヒークル』ぐらいだったら、どうにか、殺戮することも不可能ではないほどの力。
そんな魔法を前にして、センは、
「……いいねぇ」
と、素直な感想を口にしつつ、
避けることも、打ち消すこともせず、
先ほど同様、ツカの毒を、しっかりとその身で受け止める。
そして、じっくりと毒を味わいながら、
(凄まじい毒……クロッカの毒は全体的に質が高い感じだが、こいつの毒は、なんというか……力強い……グンと伸びてくる、この感じ……鍛えれば、相当な実力者になる。将来的には、十七眷属筆頭のラーズぐらいなら殺せるようになるかもな……)
などと、心の中で思っていると、
ツカが、センの目の前まで詰めていて、
「鬼毒斬ランク4!」
いつの間にか右手に握っていたナイフに魔法を込めて、
センの心臓めがけて突き立ててきた。
この一手も、センは避けずに受け止めた。
ガッツリと心臓に、ツカのナイフがぶちささる。
そして、さらに累積されていく猛毒。
ぐつぐつと、体の中を腐らせていく毒の厚みを感じながら、センは、
目の前にいる『ツカの胸倉』を、グっと、つかみ上げて、
「てめぇの気合い……その限界値がどこなのか、知りたくなったぜ」
そう言いながら、
センは、彼女に、
「死呪ランク6」
厚みのある魔法をかけていく。
「5分後に死ぬ呪いをかけた。最後の5分間。俺に一撃でも入れられたら、この呪いは解除されるが……てめぇごときじゃ、俺に一撃いれるのは不可能。……さあ、『死にゆく者の最後の輝き』を見せてみろ」
そう言いながら、ツカを、雑に放り投げる。
ぶん投げられたツカは、運動神経のいい猫のように、空中でくるりと回転し、見事に地面に着地すると、
「……うぅうう……あああああ!!」
言葉にならない怒りを込めて、
ツカは、センに接近戦をしかけた。
センの反応速度がエグすぎるので、ハンパな遠距離魔法は当たらない……と、判断したため。
「うらぁああ! 死ねぇえ!!」
センをぶん殴ろうと、必死になって腕をぶんまわすツカ。
そんな彼女に、
「殴ろうとしたね……親父にもぶたれそうになったことないのに!」
などと叫びながら、センは、
ツカのブン回しに、軽いカウンターを入れる。
半分寸止めみたいな、ちょっとしたカウンターなので、
ツカは衝撃を受けたぐらいで、戦意を喪失したりはしなかった。
遊ばれている……と理解したツカは、より激昂して、
さらに、魔力とオーラを拳に注ぎ込む。
それを見たセンは、
「そんなに、拳だけにリソースを集中させると、防御の分がおろそかになるぜ」
などと言いながら、彼女の腹部に、ソっと膝を合わせた。
軽いカウンターだったが、肉体の防御にまったくオーラを使っていない上、
みぞおちにクリーンヒットしたため、
「がふぁあああっ!」
血とゲロを吐いて、お腹を押さえながら、その場でのたうちまわるツカを、
センは、冷めた目で、見降ろして、
「集中力があだになったな。お前程度のオーラコントロールだと、防御力ゼロになるぐらい拳にオーラを集めるのは難しい」




