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237話 俺を殺せ。さもなくば殺す。


 237話 俺を殺せ。さもなくば殺す。


「……ファト……え……」


 何が何だか分からないという顔をしているソスから視線を外し、

 センは、右手を高く掲げると、

 豪快にパチィンッ!

 と、指を鳴らして、


「限定空間ランク5」


 20人の魔人を、何もない空間へと閉じ込めた。


 急に、空間魔法に閉じ込められ、動揺している20人の魔人たちを睥睨へいげいしながら、センは、


「さて、それでは始めよう。楽しい殺し合いの時間だ。お前らに与えるミッションは唯一つ。俺を殺すことだ。手段は問わない。とにかく、全員で協力して、俺を殺せ。出来なければ……お前ら全員死ぬ。一人残らず。骨も残らず」


 そう言いながら、

 凶悪な殺気を放つセン。

 その、異様な雰囲気にあてられて、

 ここにいる20人全員がブルブルと震えだす。


 『やらなければやられる』……という、極めて野性的で、シンプルで、純粋な話。


 震えている20人に向かって、

 センは、ほとばしるオーラで牽制を入れつつ、


「やりたくなければ、別に動かなくてもいいぞ。俺は何も困らない。必死の抵抗をした方がいい……とアドバイスだけはさせてもらうが、無視したって、別にいいさ。お前らが死のうが生きようが……俺にとってはどうでもいいこと」


 そう言い捨てると、

 右手を、20人に向けて、


「連続・雷鳥弾ランク5」


 鳥型にした雷の弾丸を飛ばす魔法。

 ホーミング性能が高く、その代わり、威力は低め。


 全部で『20発』の雷鳥弾が、

 的確に、20人の魔人たちに襲い掛かる。


 どうにか逃げようと、必死に動き回る魔人たち。

 幸い、鳥弾の動きは、そこまで速くなかったし、回旋能力も低かったので、

 運動能力が高いタイプの者たちは勿論、そうでないサポーター型の魔人たちも、

 普通に回避することが出来ていた。


 必死に逃げ回っている魔人たちを見ながら、

 センは、


「ははははは! 見ろ、人がゴミのようだ!」


 と、言いたいだけのセリフを口にしてから、


「さあ、無様に逃げまどえ! おびえ、震え、泣きわめき、悶え、苦しんでから……死ぬがいい!」


 悪の総帥みたいなセリフを堂々と叫ぶ。


 20人の魔人たちは、

 雷鳥弾を回避しながら、


「戦わないと、本当に殺される!」

「全員で協力して、あの頭おかしい魔人を殺すんだ!」

「ああ、それしかない!」

「だけど、いけるの?! 相手は、ランク5の魔法を連発できる強者よ!」

「あの魔人……おそらく、十七眷属級の実力者だ!」

「一対一なら絶対に勝てないだろう! けど、こっちは20人いる!」

「そうだ! 全員で力を合わせれば!」


 センエースの力に怯えながら、

 しかし、『闘わなければ死ぬ』という現状が、

 背中を後押ししてくれる。

 極限状態でこそ沸き上がってくる気力と底力を頼りに、

 20人の魔人たちは、


「「「「「うぉおおおおおおおおお!!」」」」」


 自分達の全身全霊を、

 センエースにぶつけようと奮起した。


 できる全てを賭して、

 とにかく、センエースを殺そうと必死にもがく。


 この20人は、前陣アタッカー型7人、中衛オールラウンダー6人、後衛サポーター型7人という、かなりバランスのいい構成になっている。

 一人の前衛につき、一人のオールラウンダー&サポーターがつくという、完全バディ体制で、

 どうにか、センエースを殺そうと暴れ回す20人の魔人たち。

 雷鳥を回避しつつ、センに捨て身の特攻。


 センは、そんな20人の攻撃を、ギリギリのところで回避しながら、

 心の中で、


(……悪くないけど……『よくもねぇ』ってのが、素直な感想かなぁ。まともに訓練をしていないから、どいつもこいつも、何もかもが荒い……)


 20人の魔人たちの中には、


「これで、死んでくれぇええ! 俺の全部を込めた一撃! 鬼爆砲ランク4!!」


 かなり火力の高い『ランク4の魔法』を使うアタッカーもいた……が、



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― 新着の感想 ―
「俺を殺せ。さもなくば殺す。」というセンのセリフが、 強烈な緊張感を生み出していて鳥肌が立ちました。 悪役ムーブを堂々と繰り出すセンの圧倒的な格好良さと、 その裏にある冷徹な分析のギャップがたまりませ…
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