236話 大丈夫だ、問題ない。
236話 大丈夫だ、問題ない。
(ここにいる連中を全員、ヒークルと同等かそれ以上にはしたいところ……)
などと、センが考えていると、
リバーディが、魔人たちに、
「それでは、これより、実践形式で、それぞれの実際の実力を見せてもらう。お前ら同士でやり合ってもらおうかと思っていたが、幸い……と言っていいだろう、ここには、魔人の中ではトップクラスの実力を持つと噂の犬がいる。この犬……センエースと戦ってもらい、各々の実力を確認しようと思う。セン、構わないな」
「大丈夫だ、問題ない」
「……魔人風情が、私にタメ口を叩くな。噂によると、貴様は特級を取っているそうだが、それは、ペットに甘すぎるクロッカ様の温情によるものだと聞いている。幸運だけでここまでやってきた魔人が、ヒークル様の秘書官筆頭である私に――」
「オーライ、オーライ。非礼を詫びよう、すまなかった、リバーディさん。今後は、あなたにも、礼儀を尽くさせて頂きやすよ。それで、よぉござんすね?」
「……随分と性根の腐った犬だな。なぜ、クロッカ様やガリオ様は、貴様のような、品のカケラもない犬を重用なさるのか、意味がわからん。……まあいい。それでは早速、実技試験を始める。バカ犬、準備はいいか?」
「いつでもOKだぜぇ」
「……」
「どうかしました? リバーディさん」
とぼけた顔をして、そう言うセンに、
リバーディは、一度、呆れた感じでため息をついてから、
「はじめろ。やり方は任せる。好きにすればいい」
「あざまーす! リバーディさん、大好きっ!」
などと、鋭利にチョケてから、
センは、20人の魔人たちの前に立ち、
「ええ、では、これから、皆さんには、ちょっと殺し合いをしてもらいます」
と、バトロワなセリフをぶちかましていく。
それには、流石に、寛容なリバーディさんも目を丸くして、
「アホかぁ! 『対アンデッド用で投入する予定の道具』を、こんな、意味のないところで潰し合わせてどうする!」
「命がかかった死に際でこそ、そいつの中に眠る本当の価値が輝くような気がしないでもない」
などと、フワフワした言葉を口にしつつ、
パチンと軽快に指を鳴らしたセン。
その瞬間、リバーディは、爆裂な睡魔に襲われた。
ちょっとでも抵抗すると頭がおかしくなってしまいそうなほどの、えげつない眠気。
それほどの、深すぎるまどろみに逆らえるわけがなく、
リバーディは、『ド頭を狙撃されたのか』ってぐらいの勢いで、その場にバタンと倒れこみ、グースカといびきを立て始めた。
「リバーディさんは、どうやら、お疲れの御様子。仕方がない。ここからは、俺が、一人で、お前らの『輝き』を確認していく。とはいえ、ルールはさっき言った通り。仁義なき殺し合いだ。命をかけて戦ってもらう」
その、狂気的な発言を前にして、
この魔人20人の中で、もっとも存在値が高い男、『ソス(存在値45)』が、
ビクビクしながら、
「……ちょ、ちょっと待ってくれ。命令には従うが……意味のない殺し合いは、流石に勘弁してくれないか……」
と、そんな風に、意義を申し立ててきた。
ソスは、人間相手の場合、もちろん、下手に出るが、
センは魔人なので、普通に砕けた口調で、そう言ってきた。
そんなソスの態度に対して、難色を示すセンは、
「おいおいおい、そこのお前……えっと……ソスか。ソス、この野郎、てめぇ、なにを、愉快に、ため口きいてんだ。この俺様は、試験官であり、かつ、教官という、明確に、てめぇらより上の立場の人間だ。この場においては、俺だけが尊く、お前らはウジ虫だ。わかったら、跪け。命乞いをしろ。小僧から石を取り戻せ」
「……? は?」
「良い表情だ。ファトり甲斐がある」
「……ファト……え……」




