領域の夜、異世界の朝
夜の帳が落ち、領域内が静寂に包まれる中、俺はなかなかこない眠気を何とかして呼こもうと、ごろごろと寝返りをうっていた。
「うーむ」
ダメだこりゃ。眠れないな。
気分転換でもするか。
俺はベッドから身体を起こすと、掲示板魔法を起動した。
ほっぴー:占い者CO。ガッテン黒です
ジーク:おつ
スペルマン:遺言はよ
ガッテン:なんでもう確定事項!?俺も占いCOするよ!
鳩貴族:いやー、流石にそこまで遅れてからのCOは……
タカ:何やってんだお前ら
ほっぴー:人狼ゲーム。ワンナイトの方な
タカ:どうせだし罰ゲーム付きにしようぜ
ジーク:罰ゲーム好きすぎ
ガッテン:え?やるとしても次回からだよな?それ
タカ:え?
ガッテン:え?
ほっぴー:自称占い者さん?wwwwwwどうしたんですか?wwwwwww
ほっぴー:ホラ頑張って皆を説得して??????
ジーク:勝ち確煽りすき
鳩貴族:遺言は聞きましょう
タカ:罰ゲームは両肩脱臼でどうだ?
スペルマン:発想がサイコすぎるよタカ氏……
タカ:気軽に出来て気軽に戻せるだろうが
ジーク:気軽の定義こわれる
ほっぴー:というか占いしろや
ほっぴー:仮にもCOしたんだろ?
ほっぴー:というか霊能は?
ジーク:ほい
ほっぴー:初日噛まれのモータルどうだった
ジーク:白
ほっぴー:把握
ガッテン:ジーク白
ジーク:俺に関わらないで
ガッテン:なんで!?
タカ:はやく脱臼しろ
タカ:見届けたら寝る
ガッテン:そんなに見たいか!?なぁ!?
ガッテン:というかセルフでやんの……?
ジーク:もうやる前提で話し始めて草
鳩貴族:こっちもそろそろ寝たいのではやくしてくれませんかねぇ……
タカ:モータルが代理でやるという手も
Mortal:もう喋っていい?
ほっぴー:もうちょい待て。よーしお前ら、投票すっぞ
ほっぴー:ガッテン
ジーク:ガッテン
タカ:ガッテン
鳩貴族:ガッテン
スペルマン:ガッテン
Mortal:ガッテン
ガッテン:部外者と死人が混ざってるんですけどーーーーーー?????
ほっぴー:遺言はそれだけか?
ガッテン:じゃあもう一個
ガッテン:脱臼だけは勘弁してくださいお願いします何でもしますから!!!!!!!
ほっぴー:ダメです
ガッテン:あああああああああああああ!!!!
ジーク:断末魔ガチ勢
スペルマン:人狼RTA
ほっぴー:モータル、結果どうよ
Mortal:村陣営の勝利
Mortal:人狼 ガッテン
占い師 ほっぴー
霊能者 ジーク
村人 鳩貴族 スペルマン
狂人 Mortal
タカ:草
ほっぴー:味方噛んだ上に初手黒出しされる男
スペルマン:やっぱりRTAじゃん
鳩貴族:おつかれさまでしたー、寝ますね
ほっぴー:おつー
タカ:おつー
Mortal:おつ
スペルマン:おつー
ガッテン:おつ。さぁて俺も寝るか!
タカ:は?
ガッテン:いやもうほんと……土下座でも何でもするんで……
タカ:しょうがねぇな
タカ:眠くなってきたし勘弁したるわ
タカ:おやすみ
ガッテン:おやすみ
ほっぴー:明日異世界行きなんだからはよ寝ろよ
タカ:うす
俺はその二文字を掲示板に送信した後、再びベッドの上に横たわった。
すると数分前とは違いすぐに睡魔が俺を襲い、あっという間に眠りに落ちた。
『タカさん、モータルさん。今すぐに起床し、身だしなみを整えてお代官様の部屋まで来なさい』
んぐぉ。
領域内に響くアナウンスに、意識が無理やり覚醒させられる。
「ふぁあーあ、やっぱ夜更かしは悪だわ」
身体からゴキゴキと音がするが、構わずベッドから飛び起きる。
「……死ぬかもしれないのに遠足気分が抜けねぇってのはどうなんだろうな」
まあ、あまり気を張ってると騙せないし。
俺はそんな事を考えながら、朝の身支度を始めた。
「おー、タカ。おはよ」
「おう、おはよう」
ドアを開けた先に居たのは、モータル、そして砂漠の女王。
「お代官さんは?」
「眠ってますわ」
眠らせた、の間違いだったりしない?あ、すいません何でもないです。
「あらあら、ふふふ……じゃあサクっと飛ばしちゃいますわね」
「やっぱ何かしたんだろ!?」
「何の事だか。ああ、現地でのアシストは基本的に運び屋がやってくれますわ。では頑張ってきてくださいまし」
それ以上追求する間もなく、俺とモータルはゲートの中へと放りこまれた。
「……っと」
ごろんと地面を転がり衝撃を受け流しつつ立ち上がる。
見れば、少し懐かしさを感じる周囲の景色。
「魔女の子捨て場、だったか?」
「タカ。アリ見ても触らないように」
「触らねぇよ」
……おい、その疑わしげな目をやめろ。
「まあやるとしたらまた別の生物か……」
「触らねぇよ。いやマジで」
異世界の生物だぞ。不用意に触ったりなんかするかよ。
俺は少し呆れたような視線を返してくるモータルを受け流しつつ、街の方向へ歩きはじめた。
プチッ
「……うーん、聞こえた?モータル」
「うん。とりあえず走ろう」
はぁい、了解でぇす!
俺は半ばヤケクソになりながら走り始め……ようと、した。
だが、俺の足が地面から離れる事は無かった。
「ああ、そういう系のやつね!はいはいはい!」
俺はお気に入りだったスニーカーに別れを告げ、その場から全力で撤退した。
「クソ!俺の調べた情報にはないぞあんなの!」
「新種じゃね」
「どんだけ過酷な環境なんだよ!そしてなんで毎回あそこスタート……ああでも人が来る場所だとまずい……いやでも。さぁ!ねぇ!?」
「言いたい事はわかる」
ほらぁ!モータルでも分かる感情ってなかなかだぞ!
「今タカが失礼な事考えてるのもわかる」
!?……コイツ、感情を……成長してる、のか…………?
「多分タカが分かりやすいだけじゃない?」
「……俺、ちゃんと特級の奴ら騙せるか不安になってきたぞ」
「騙すときはびっくりするぐらい上手いし大丈夫だと思うよ」
えぇ……?それはそれでどうなの……?
タカ:街に到着。運び屋と合流も出来たんで一旦宿屋で休憩&報告
お代官様、挙式はいつにいたしますか?:報告、把握いたしました。
ジーク:名前戻してなくて草
砂漠の女王:おっとうっかり
ジーク:絶対故意でしょ
鳩貴族:故意というか恋、ですね
ジーク:ひゅー!
砂漠の女王:いいえ、愛ですわ
タカ:指示はないんですか????????
砂漠の女王:高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変な対応を期待しますわ
タカ:もしかして丸投げですか???????
砂漠の女王:はい
タカ:はいじゃねぇよ!!!!?
ジーク:草
砂漠の女王:言われたら情報は渡しますので
タカ:これだから指示待ち人間は!はー、つっかえ!
ジーク:ブーメランの戻る速度はやすぎない?
ほっぴー:速過ぎるブーメラン、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね
タカ:ああ、分かったよ!やってやるさ!待ってろ特級ども!見事に騙し切ってやるからな!!!!!




