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過疎ゲーが現実化して萎えてます。  作者: ペリ一
本編

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オーク討伐、の道中






 ざわざわとした喧騒と、まばらな足音。


 そんな中、俺は少しでも顔見知りを作ろうと、推奨にも満たないのにほいほいついてきたアホ共とコミュニケーションを取ろうとしていた。


「いやぁ、いい感じに獲物掠め取れるといいな!」


「……何なんだアンタ」


 おっと剣呑な雰囲気だ。


 こちらを睨みつけてくる俺と同い年程度の剣士らしき男は、一つ溜め息をつくと、手を差し出してきた。


 握手か。

 礼儀はしっかりしているらしい。


「まあまあ、広場の時は悪かったよ。ちょっとテンション上がっちゃってさ!分かるだろ?」


「納得はしないけど……まぁ、そうだな。仮にも同じ隊に属する訳だし、水に流すよ。他の奴がどうかは知らねぇけど」


 顔も性格もイケメンか。

 なんか腹立ってきたわ。


「おい、何で今ちょっとムッとした!?俺すげぇ寛大な措置したよな!?普通ぶん殴られてもおかしくないとこだぞ!?」


「いやいや、俺ムッとしたりとかしないから。した事ないから」


「嘘が大雑把すぎる……」


 コイツは色々と物事を押し付けれそうな感じがするな。

 便利な顔見知りゲットだぜ!


「うわすっげぇ顔してる……無視した方が良かったかな……」


 良くないぞ。



 さて、次はどうしようか。


 そう思ったところで、前方で雄叫びがあがる。


「ん?」


「はぐれオークでも居たんじゃねぇか?」


「マジか。いいなぁ」


「……随分、自信があるんだな」


「いやぁ、実は再発行したから等級最初からなだけで……あれ?モータルは?」


 周囲に居ないモータル。


 未だに騒ぎの収まらない前方。


「ひゅう。帰りたくなってきたぜ」


「モータル、つったか?そいつが何か……」


 その瞬間、血の匂いがこちらにまで漂ってきた。


 それと同時に割れていく人の波。



 そこから出てきたのは、血塗れのオークを背負ったモータルだった。



「タカー!」


「……呼ばれてるんじゃないか?」


「俺、アイツ、知らない」


「タカー!腹かっさばいたのに魔石がないー!」


 うるせぇ。


 おいやめろ馬鹿こっち来んな。俺に視線が集中しちゃうだろうが。


「……ああクソ!何なんだよ!?つーかいつの間に殺りやがった!?」


「なんか舐めプしてたから横からかっさらったー」


 その言葉を聞いた青年イケメン剣士くんが、俺に耳打ちをしてきた。


「お前のツレ、やばいな」


 俺もそう思う。










 ギルドの先輩方に全力で謝り倒し、モータルのヤバさを誇張気味に喧伝した後に俺の無害さをアピールしてから数十分。


 モータルは、すっかりアホ共に囲まれて居た。


 俺?剣士くんと二人っきりだよ。

 寂しくなんかないね!

 いやー、うん。

 心なしか先輩方からも避けられてる気がするけど、気のせいだよな!


 だって俺悪いことしてないもんね!


「なぁ、剣士くん?」


「……アルドだ。いや、お前の弁明とツレのこき下ろし方がえげつなかったから皆引いてるんだろ」


「マジ?」


「自覚無しか……変にフォロー入れたせいで仲間と思われたし今日は厄日だな……」


 そういやネット文化とかないもんなココ。

 俺らの普段の会話のノリが伝わり難いのかもしれない。

 つまり俺は悪くないわけだ。


 いやー、残念だな。俺良い人なんだけどなぁ。文化の壁は流石になぁ。


「はあ……まあいいか。お前もどうせ強いんだろ?」


「ん?……まあ、そうだな」


「せめてちょっとぐらい甘い汁啜らせてくれよ?」


「あー、晩飯奢ろうか」


 俺の言葉を聞いたアルドくんが頬をヒクつかせる。


「……オークだよ、オーク。一体くらい狩ってみたい」


「高級店のコース料理だぞ」


「……じゃ、じゃあそっちでも良いけど……」


 チョロいわぁ。

 この調子でどんどんチョロい人のストック溜めようっと。


「時折する、その、悪意を三日三晩煮込んだみたいな顔は何なんだ?」


 失礼過ぎるだろ。

 なんだ三日三晩煮込んだ、って。


 俺は善意が服を着て歩いてるとまで言われた男だぞ。

 自称だから言われてないけど。









「タカー」


 暫くアホ共と戯れていたモータルだったが、飽きたのか、俺とアルドの居る所へのこのことやってきた。


「おーう。どうした」


「そろそろ着くらしいよ」


「さっさと終わらせてコース料理だな。ああ、こっちのアルドくんも一緒に食うぞ」


「え?食べるの?」


「多分お前が想像してる方ではないかなぁ」


 おいやめてくれアルドくん。

 怯えた目で俺を見るな。

 食う訳ねぇだろ?常識的に考えて。


「だってお前、時々、邪気やばいし」


「はぁー、この後光を抱いたとまで言われる俺をそんな扱い……」


「タカ、ここ来てから色々と雑」


 しょうがねぇだろ。雑にしても意外と何とかなるんだもん。


「……はあ……なんでこんな厄介な奴等と接点持っちまったかなぁ……しかも特にヤバい方と」


「ああ、モータルな。気持ちは分かるぜ」


 おいなんだその目は。








 暫く呑気に三人で雑談を交わしつつ歩いていたが、突如としてドドドド、という地響きが辺りを包み始めた。

 そしてその直後に響いた雄叫び……明らかに人の物ではなく、聞いた事など無いはずなのに、どこか既視感のあるソレ……


「……うっわぁ……コレは」


「タカ!モータル!もう武器を構えた方がいい……モータル!?モータルはどこに行った!?」


「アルドくん。人生諦めが肝心だぜ?」


 既にオークを狩りに行ったのであろうモータル。


 それはもう良い。仕方ない。


 どうせそんな事だろうと思ってた。


「人を守った事ぁねぇからさ、まー、アレだわ」


 せめて戦線に突っ込んでオーク減らして、戦死者減らしてやるとしますかね。


 実力隠す?

 いやぁ、既にモータルがやらかしてますし。

 無理でしょ。


「異世界でレイドボス討伐した際も天の石が貰えるか、ってのも知りたいしな!」


 俺は渋々といった体を装いつつも、ノリノリで最前線の方へ駆けていった。



 ——ああ、認めよう。


 俺は嬉しい。


 過疎ゲーは好きだ。


 少人数でのレイド攻略も好きだ。


 だが、こういうのはまた、別腹なのだ。


 現実とゲームの違い?嫌というほど理解させられている。


 だが、それでも、この内から出る熱は誤魔化せない。

 ゲーマーの性ってやつだ。


「タカー!」


「モータル!」


「「わははははは!!!」」


 俺たちはオークの血飛沫の中、笑い合った。




「あ、アイツら……頭おかしい……」


 視界の隅にドン引きした様子のギルドの先輩方が見えたが、今の俺は気にしない。




 いややっぱ嘘。

 顔覚えたからなお前ら。



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