サボり魔?いえいえ、裏工作班です
「師匠!無事だったんスね!」
「おう。そっちこそ無事だったか?」
「はい!皆ー!師匠が帰ってきたっスよーーー!!」
俺が歩いてくる姿を遠目に確認したベガが、避難所の仲間達に俺の帰還を知らせにいった。
というかマサルはどこに行った。
ベガの話が伝わったのか、避難所の各地から歓喜の声が聞こえる。
正直、こっちの方に報告をしなきゃいけない事自体忘れていた俺は、必死に、どう説明すべきかを考えていた。
「タカさん!よくぞご無事で!積もる話もありますし、是非中に……」
「ああいや、こっちはこっちで後処理がありまして。今はちょっと顔を出しに来ただけです。後で他のメンバーも連れて挨拶に来ますので……」
下手に今入れば英雄の凱旋だ何だともてはやされ、ある事ない事喋ってしまいそうだ。ここは一旦退却して、他の3人と口裏を合わせてから、改めて来るべきだろう。
俺のそんな思惑など当然知らない西川さんは、柔和な笑みを浮かべ、ペコペコと俺に頭を下げている。
「ええ!分かりました!それまでに歓迎の準備を整えておきますので!」
「それは楽しみです」
俺はとびきりのスマイルを浮かべ、西川さんとガッチリ握手を交わした。
「という訳で口裏を合わせるぞ」
自宅に戻った俺は、紅羽、ほっぴー、スペルマンの3人を集め、口裏合わせ会議を始めた。
「タカ氏がちゃんと仕事してる……」
おいおい疑ってたのか?俺はやるべき事はしっかりやる男だぞ。
「あたしの親と薫がいる方の避難場に行ってたよな?」
そりゃあ、安否確認は大切だからな。
「アリの話だっけか?」
「オーケー、紅羽。その話はここで終わりだ。人間誰しもミスはある」
「やっぱサボってたんじゃねぇか……」
だが結果として仕事はした。そこは評価して欲しい。
「じゃあタカ氏の役職は裏工作にしとこうか」
人聞きが悪すぎる。
ほらもっとこう、コミュニケーション係みたいな?アットホームかつ笑顔の絶えない感じの職場にしていこうぜ。
「それブラック企業特有の宣伝文句だぞ」
ちょっと黙っててくれるかな、野次飛ばし係のほっぴー君。
「は?」
「ねぇなんでリアルでもそうやって内ゲバ始めるの?」
「諦めろよスペルマン、こいつらはそういう奴なんだ」
紅羽、お前、自分は違うからみたいな雰囲気出してるけどバリバリの同類だからな?ザントマン事件を忘れるな。
「勝手に事件名つけてんじゃねぇよ」
はっはっは。……おい待て落ち着け。その構えはなんだ。おい!やめろ!室内でメテオはやべえから!ほんとに!落ち着……馬鹿!やめろっ!!おい!!!やめて下さい!!!!!
ザントマン事件が単なる殺人事件に変わるところだった。
なんとか黒焦げにならずに済んだ床を眺めながら、室内に連れ込んだグールの腹を揉む。あうあう。
「……あたしもちょっと揉んでみていいか?」
悪いな、この腹、俺専用なんだ。
俺がそう堂々と宣言してやると、グールがその枯れ枝のような腕を俺の頭の方へ伸ばし、ポンポン、と撫でてきた。
「なんでお前が撫でられる側なんだ……」
そりゃ紅羽……あれだ。バブみってやつじゃないか?
「うぇ……」
俺の発言を聞き、まるでグールのような声を出した紅羽は、自室へと戻っていった。
ドン引きじゃねぇか。だがそれでも俺は揉むのやめない。
「うあー。あう」
だよねー。超あうあう。
タカ:【画像データ(グールのお腹)】
鳩貴族:ほう……良い、張りですな
タカ:【画像データ(別アングルのグールのお腹)】
鳩貴族:良い
ガッテン:おいふざけんな、画像見てるとこヴァンプレディちゃんに見られてドン引かれたじゃねぇか
ジーク:やったぜ。
ガッテン:やったぜじゃないが
タカ:【画像データ(更に別アングルからのグールのお腹)】
紅羽:お前暇そうだな
タカ:暇じゃねぇよ。カメラアングルの研究やぞ
ほっぴー:お前言い訳考える速度とその説得力がやばいよな
タカ:お前ほどじゃないんだよなぁ
ガッテン:ビンタされた
ジーク:草
タカ:ビンタ跡晒せ
ガッテン:嫌ですが……
紅羽:引かれたのにまだ見ようとしたお前が悪いだろ
ガッテン:いやだってグループ見てたらどんどん貼られるんだぞ!?防げないじゃん!
ほっぴー:お前の業界じゃビンタはご褒美じゃないの?
ガッテン:ちょっと良いなとは思った
タカ:ヴァンプレディさーーーん!!!こいつこんな事言ってますよー!!!!!
ガッテン:お前マジやめろや
タカ:そんな奴の使い魔になるくらいなら俺のとこ来ませんかー!!!!手に職持ってる立派な男ですよー!!!!
ガッテン:行かせんぞ絶対に
タカ:けっ、無職が
ガッテン:んだコラ人類の裏切り者が
タカ:潜入捜査つってんだろ!!!!!
ガッテン:その割にはエンジョイしすぎなんだよ!……なぁ、ほんとに大丈夫だよな?裏切らない?
ジーク:最後だけマジトーンっぽくて草
タカ:お前……そこは信用しろよ。大丈夫、上手い具合に魔王軍掻き乱してきてやるから
ほっぴー:情報と天の石しっかり吐き出させてから捨てるから任せとけ
ガッテン:頼もしいけど最低すぎる
紅羽:そういや魔王軍の本部って天の石いっぱいあるんだよな
タカ:あー、そうなるのか。攻め入ろうぜ
ジーク:草
ガッテン:思考回路がガチャ一直線すぎる……紅羽、お前だけが頼りだ。二人の手綱しっかり握っててくれ
スペルマン:ねぇ俺は
ガッテン:スペルマンは割と常識人って分かってるから
スペルマン:うす
紅羽:ほっぴーとタカに手綱がついてるわけねぇだろ
ジーク:知ってた
ガッテン:これもう一人くらい合流した方が良いんじゃないかな……ねぇ誰か
タカ:お前がこいよ
タカ:やっぱくるな
ジーク:タカさん手の平千切れかけてますよ
タカ:お前がヴァンプレディと仲睦まじ気にしてるの見たら殺意が抑えきれんかもしれん
ほっぴー:俺も
タカ:お前はケンタウロスアマゾネスを……あーやばい爆死する光景がフラッシュバックしてやる気と殺意がどんどん……あれ……?この記憶は……ザントマン……?
紅羽:殺すわ
ジーク:草
スペルマン:ちょっと待って今の爆発音何!?違うよね!?ねぇ、紅羽氏!?
紅羽:すっきり
スペルマン:違うよね!?ねぇ!?あとタカ氏なんで黙ってんの!?ねぇ!?
ほっぴー:紅羽もたいがい酷い定期




