第98話 変わった奴
私は、イリアと創作料理・アリアにいた。
そこに、エルフらしい科学導師がいた。
「何者?」
身構える・・・
「こんな奴だぜ。」
がちゃり。
彼は、腕を外した。
「「人間」やめてるわね・・・」
「勇者の母親に、しこたま説教されちまったぜ。
俺は、「機巧の大魔王ファルス」だ。
ここには、あいさつにきた。」
「ミリアム様・・・
大魔王ファルスって・・・」
「こういう奴よ。」
「で・・・勇者の母親とは、エリアリア・ライテス夫人ですか?」
イリアが尋ねた。
元王女で、ライテスの妻だ。
「いんや。それは、「天空の勇者」の母親だ。
こっちは、「光の勇者」の母親で、当時の騎士団長だ。
呪いの剣を使いこなす、とんでもない女だったぜ。」
遠い目で、スパークリングワインを飲む。
「この酒、好きだぜ。
ライテスの野郎が教えてくれた。
なんでも、邪馬台国の「ノブナガ」って野郎も好きだったらしいがな。」
しみじみと、呑んでいるなあ・・・
「はい!「アゴ出汁味噌汁いっちょう!」
アリアが、具なしの味噌汁を持ってきた。
「ぐいっといきねえ!」
普通、こういう場合、酒を勧めるもんだが・・・
「おいしい・・・」
「うまい・・・」
「なんたって、「アゴ出汁」にゃ。」
なんだそれ・・・
「トビウオ出汁?」
しかし、アリアはちっちっちと人差し指を振る。
「違うなァ・・・」という表情・・・
「トビウオ出汁の、更に厳選した「下アゴ」を使用しているにゃ。」
「「また、こんなのか!?」」
私たちは、ツッコむ。
「ぶははは・・・!これだから、この国は楽しいぜ!
あの野郎が、気にいる訳だ!」
恥を褒められているようで、複雑だ。
「そうそう・・・ネズミの奴・・・
実験用マウス一号の奴・・・
かみさんに絞られて、「カス」になってたぜ。」
言うだけ言うと、ファルスはお代を置いて去っていった。
「カス」って・・・
「機巧の大魔王」ファルス
機械工学に通じた、科学導師の大魔王。
アンドロイド。




