第890話 エルリウム遺跡
かつて・・・
野の獣を追い、田畑を耕し、魚を釣っていた種族は、惑星全体に広がっていった。
物々交換をし、経済を整え・・・
やがて、星自体を支配した。
だが・・・
神々が戦争を始めて、人間が参入する前に、二つの星系を支配した段階で、諍いを起こし、種族全体の滅亡にひた走っていった。
「碑文からは、そう読めますね・・・」
サクジが言う。
「では、神が来られるとは?」
イノセンスの考古学者が、尋ねる。
「フム・・・」
更に、翻訳を続けていく。
やがて、ここに猫の王と女神がやってきて支配する。
願わくば、故郷の者たちにかつての生活と誇りを・・・
「「故郷」とは・・・
「向こう側」のことね。」
私は、碑文を見た。
「そのようです。
陛下・・・
推測ですが・・・
恐らく、「文明の末裔」たちは、己の過去を恥じるあまり・・・」
「「悪魔の業」として棄てたという訳ね・・・」
あり得る話だ。
神、猪を神聖な信徒とし、星を平和に統治せん。
王、星に居を構え、いくつもの都市を築かん。
「うへえ!
大公殿下とニケ様のことじゃねえか!」
ショータが、仰天した。
「文明の名は・・・」
ごすッ!
マリエラの鉄拳が、ショータのどたまをどついた。
「お前にそれを聞いてないにゃ!」
「書いてあるぞ・・・
この遺跡は・・・
「エルリウム」・・・
どうやら、A陣営の名はまだわからないが・・・
B陣営は、「エルリウム」と呼称していたらしい。
すなわち「エルリウム文明」の「エルリウム遺跡」だな。」
アルナスが、感想を述べた。
ニケ:あちしのことが予言されていたにゃ・・・




