第865話 大物!
「おおおおおおおおおおお!」
病み上がりであるにもかかわらず、ライティアは十五メートルの「ユニィティアオオウナギ」を釣り上げた。
「でも、なんでこんな大物釣るんです」
イノセンスの神官の少女が、ミケランジェロ一族の女性に尋ねた。
「まあ・・・
元々は、本星で王家のご先祖様が期せずして、大物を釣り上げ、皆に鍋をごちそうしたことに端を発するにゃ。
以来、王家の者は、こうして自分の結婚式やお祝いごとには、自分でその主菜を「釣る」ようになったにゃ。
主に、料理は「キティルハルムの闇鍋」にゃ。」
ずるッ!
神官の少女が、コケた。
「なんで、「闇鍋」なんですか!?」
「しょーがないにゃ。
「初代様」の、まともな料理のレパートリーがなかったにゃ。」
「ちっちっち・・・」
と、女性。
「品目なんて、どーでもいいにゃ。
「君主」が「民」に振舞うのが重要にゃ。」
言ってる横で、「いずず」と書かれたトラックが、捌かれた「ウナギ」を、「領主館前広場」に運ぶ。
乗っているのは、エルフィーラの系列の運送会社の従業員らしい。
「それも、「高貴なる者の義務」ですか・・・」
「にゃ。
貴族の縛りがない国でも、低料金や無料でそういう仕事を「副業」でやっている経営者は「モテる」にゃ。
ある神様の子は、神殿のお賽銭箱に入れられるお金がなくて困っていて、その日の生活に必要なお金をぶっこんだ人に対して「この方は、これまでで最も多くお賽銭を入れた方です!」と、言ったそうにゃ。」
「それって・・・」
「つまり、金があるヤツ・・・
人の上に立つヤツほど、「そういうこと」をやれということにゃ。」
そんなとき、準備終了の鐘がなる。
「いくにゃ。
今、殿下に必要なのは「家族」にゃ。
あのお方は、今、一人で人材や必要なものを集めて頑張ってこられたにゃ。」
「「巣立った」っていう自覚があるのも善し悪しですね。」
「だから、「支える家族」が必要にゃ。」
病み上がり(?)で書いたので、メインではなくギャラリー視点はご容赦を。




