第90話 邪馬台国旅行
「働きすぎですね、ミリアム。やっぱり、「元日本人」の性なんでしょうか。
しばらく邪馬台国にでも旅行に行ってきなさい。」
その母さまの一言で、ライアス殿下を国に送りがてら、ヒデアツと共に、邪馬台国に向かった。
なんというか・・・
そこは、シュールな風景・・・
明治・大正時代の街並みに、未来的な服装で通信盤片手に歩く、狐の獣人族たち・・・
行き交う自動車・・・
しかし、目を惹いたのは・・・
「こ・・・これは・・・」
黒大型乗り合い自動車・・・
ナキが喜びそうなネタだ。
「先祖の趣味です。」
ヒデアツが、うめいた。
「初代は、名の知れた地球のとある執政官と同じ名で、同じ趣味だったそうです・・・
『トヨトミ・ヒデヨシ』という名をご存じだと思いますが。」
私は、頭を押さえてうめいた。
「あ〜・・・もしかして、「ゴールドミスリルの茶室」とか、やってません?」
ゴールドミスリルとは、最上級のミスリルだ。
金より安価だが、それでも銀より値が張る。
「それで、息子夫婦が、直視できなかったようで・・・」
おい!
「まさか、屋敷の壁を漆塗りにしてたり!?」
「ええ。
領主館・大阪城の天守閣は、漆塗りとなっています・・・」
黄金の茶室かよ!
全く同じ趣味だ・・・
「そうそう。
米が自慢ですね。
建国期にライテス卿に、導入していただいた田植え機と、稲刈り機によって、農業の効率化と錬金術師、科学導師、工業労働者の枠を開拓。
それにより、トラルティール、キティルハルムの技術協力もあり、建国から数年で各国に追いつきました。」
すげえよこの国・・・
「特に、二代目皇帝ヤマトタケルと皇后オト・タチバナは、ライテス卿やその娘・勇者ルミナリアと親交があったそうです。」
「聞いたことあるの!」
ユニィが、右手を上げる。
「たけるさんと、おとさんは、「できこん」だったって。
らぶらぶだったって。」
「そうですよ。ユニィ姫。」
にこにことした顔で、ヒデアツは答えた。
邪馬台国は、日本擬きです。




