第869話 ユニティア級二番艦ユニバーサリア
キティルハルムの門で、新造宇宙船が完成した。
プリンセス・ユニティア級二番艦ユニバーサリアだ。
「しかし・・・
誰が行くかだよね・・・」
ジョルジュが、腕を組んで言った。
「これから、人口の増加が見込まれるが・・・
いきなり「即戦力」にできるものなど、いやしないのだ。」
アルナスが、私に言う。
「そこなのよね・・・
ウチの「一級貴族」や「評議員一族」の増加も見込まれるけど・・・
数字でカタをつけていい問題じゃない。
「人間」は、工業製品じゃないのよ。」
「うん。
だからといって、僕らの「複製体」を大量に送り込んで何とかするってのも論外。」
ジョルジュが腕を組んだ。
「募集をかけているんだけどね・・・
ユニバーサリアの船長には、ユニィの長男のライティアが就任したけど・・・」
彼は、まだ子供だ・・・
「まあ、彼は「飛び級」で王立学校を卒業して、補佐役もいる身だろ?」
「法律上はね・・・」
ジョルジュの言に、私は言葉を濁す。
「ただ、その道のプロたちが集まらないようだ。
無理に行かせると今度は、キティルハルムの・・・
ひいてはリシテアールの経済の衰退を招くぞ。」
アルナスが、私たちを見た。
「ミツバチは、新しい女王蜂が育つと、余った群れを連れて飛び立つという・・・
キティルハルムの「ハチさん」たちもそうやって、社長をやっている女王様からお姫様が独立したそうだ。
だが・・・
同じ「人間」でも、我々はそうはいかん・・・」
「そうなのよ・・・」
ユニィ:誰か、キティルハルムの民で「惑星ミリアリア移民」に行きたい人、募集してるの!




