第817話 稲荷の神
「変わっていないな・・・
キティルハルムは・・・」
九尾の若い稲荷神が言う。
水干姿の青年・・・
いや、ヘタをすれば少年だろうか。
「でも、雰囲気が変わっていますよ。」
同じ年頃の稲荷神の女性が、答える。
キティルハルム王都・キティルハルム。
「もうすぐクリスマスにゃ!」
「リケ様に、どんなお菓子贈るにゃ?」
ミケランジェロ一族らしい幼女たちが、歩いていくのを尻目に、稲荷神は驚く。
「「クリスマス!?」」
気にはなったが、宮殿に向かう。
「久しぶりですね。
稲荷雪尾君に、萌黄さん。」
宮殿の応接間で、女王ミリアムが出迎えた。
「娘が、お世話になっています。」
「彼ら」は、雪尾と萌黄の成長した姿だったのだ。
「いえいえ・・・
こちらこそ・・・
娘さん・・・
食用のコブラをプラモデル用の塗料で塗ったり・・・
棘付き鉄球をぶんまわしたり・・・」
聞いていて、萌黄が真っ赤になる一方、雪尾は笑い転げていた。
「さ・・・
さすが僕の子だ・・・!
「コブラ」塗る辺りは、そっくりだ!」
「っていうと・・・?」
「雪尾様・・・
子供の頃、ヤマカガシを「とぐろ状」に固定して、茶色く塗っておられたそうです・・・」
「そして、艶出しをして磨いて・・・」
まさに、仮想「ウンコ」・・・
「もう!
だから「クソガキ」って言われてたんですよ!」
「蛙の子は蛙」である。
「今回は、だいぶ長く逗留できるのでね・・・
済み次第、娘の葉狐やミユちゃんにミレイちゃんを連れて帰ります。」
「もう、時空神様や司書神様に苦情を言われてるんですよ・・・
「歴史」を変えるなって・・・」
萌黄が、困ったようにお茶を飲んだ。
大人になった、雪尾君登場!




