第685話 聖大魔王
「まったく、冗談じゃないよ。
あなたは、そんなに手柄を立てたいのかい?
このミリアム陛下の爪の垢を煎じて飲ませたいね。」
ジョルジュの言葉は、辛辣だった。
「戦う機会がなかったからこそ、艦隊だって整えられたんだろ?
それを戦ってなんぼかい?」
「うッ・・・!」
エルフィーラ王は口ごもる。
「確かに、ミリアム陛下は結構戦ってるよ。
けどそれは・・・
むしろ、あなたのように堅実に戦力を整えながらやりたかったに違いない。」
そうだなあ・・・
「むしろ、ジョルジュの言う通りですね・・・
邪魔されながらも、やっていたという感じです。」
はっきりと言う。
難しい・・・
黙っていた方がいい場合と、言った方がいい場合がある。
「では・・・
エルフィーラ王・・・
こういうのはどうでしょう。」
ヘクセンティアールのテティス女王が提案する。
「アルナス卿と入れ替わりに、こちらの半数が敵第二要塞の改修に向かうというのは。
そのまま、攻勢まで駐留します。」
「う・・・
うむ・・・」
結局、この方針で決まった。
「しかし、この流れを作ったのは他でもないあなたですよ。
「鼠の大魔王ジョルジュ」殿。」
「へッ?」
「さしずめ・・・
「聖大魔王」といったところでしょうか。」




