第64話 二本目の軌道エレベーター
キティルハルムの門と、軌道エレベーターが完成し、宇宙開発が軌道に乗っていく。
「だううう・・・まーま。」
「ユニィ!」
私は、娘を抱き上げた。
「畜生!わが娘ながらかわいいぞ!」
ぐりぐりと頭をなでる。
「きゃううう!」
「ユニィ様。ごらんください。
あれなる「柱」は、世界各国の王たちが「星の海」に出るためおつくりになられていて、母上様が担当されたその一つでございます。」
従者に一人が、仰々しく説明する。
「う?」
ユニィは、右手を天に上げ、質問するかのように従者を見る。
「はい。
かつて、ユニィ様も、ご両親と共に参られましたね。
しかし、あれは言わば「港」であり「近海」であります。
「大海原」に行くにはまだ「柱」が足りない上、危険が多いのでございます。」
「ぶううう・・・」
残念そうに私を見る。
「こらこら・・・ここまで来るのに時間かかったんだぞお!
わがまま言うない!」
「あい!」
これまた、残念そうに「返事」をする。
近頃、我が娘はよく喋るようになった。
「まーま・・・おほしさまの海、きれい・・・」
「でもね・・・このリシテアールは、まだ小さいんだよ。
太陽・・・リシテソルだって、まだ小さい星だよ。」
「いちばん大きいおほしさまは?」
「そうだねえ・・・
太陽の何億倍もあるって話かな。
そんな星々を線で結んで人や神様の姿にして灯台にしたものが・・・」
「せいざ!」
「おお!よくわかってるなァ!誰にならった?」
「おばあちゃま!」
この子のためにも、できるかぎり危険は取り除いてあげたい。
この子が大きくなって、遊びや仕事で宇宙にいくようになったときのために・・・
だって、それが「親心」ってもんなんだろう・・・
星の海に想いを馳せます・・・




