第644話 古語を蘇らせた人
「あなたは・・・
アルナス・ライテス卿・・・」
聖なる魔女は、アルナスを見た。
「私は、かつてホープメイカーの電算機を解析した。
同じように転生してきた「妻」と共に・・・
あの頃は私は、「男」だった。
ま・・・
そんなことはどうでもいい。」
アルナスは、メガネをくいっと押し上げる。
「あの頃は、日本語懐かしさで夢中になって解析した。
くくく・・・
するとどうだ・・・
とんでもないことばかりわかったじゃないか・・・」
「では・・・
あの船の真の名は?」
「・・・
銀河連合軍・強襲揚陸艦・・・
「グラム」・・・」
「それって・・・
「勇者」が邪神竜を倒した聖剣・・・」
「そう。
だから私は、あの船を皆の希望になるようにと・・・」
アルナスは、言葉に力を籠める。
「希望を創る者と銘名した!
人は・・・
どんなに辛くとも、倒れてはならん!
よしんば今倒れて力尽きても、心は折れてはならん!
ならば・・・
「神殺しの剣」に「希望を創る者」と名乗らせてもよかろう。
また、新しい世界に新しい神々が生まれてきている。
「神」とは、かつては「親」であり「敬う者」だった。
ところが、最近の「神」の一人はこう言った。
「「神」とは、人に寄り添う者」だと!」
リケちゃんのことだ・・・
「今や、大魔王たちは人に寄り添っている。
くくく・・・
よりにもよって、その最高指導者があなたのかつての仇敵の右腕だったヤツだ。」
ジョルジュだな・・・
「そうですね・・・
新世代の大魔王や魔王にも、「正義の大魔王」なんているくらいだし。」
古き、忌まわしきモノはいらない。
新しく、輝かしいモノが必要だ。
しかし、古くてもすばらしいモノは、残してよよいのだ。




