第635話 野球の被害者
リケ神殿・食堂・・・
ここで、野球の実況中継が行われていた。
「コメウリ・デーモンズ」のワーピューマの若い投手・星ピューマの必殺投法「マッスルフレアボール」が、「ワッキー・ギガース」の人狼の打者・シゲ・ロングのバットを粉みじんに粉砕して、バッターアウトに追い込み、「デーモンズ」通称・魔神軍は今リーグ優勝となった。
「あんなのアリかにゃ・・・」
リケちゃんは、ぼやいた。
「人間技じゃないわね・・・」
私は、素直に驚愕した。
「あちし・・・
あの投手の修行で、エラい目にあったにゃ・・・」
「何ソレ?」
リケちゃんは、スパークリングワインをあおる。
「陛下も、ここの丘にあちしの自宅があるの知ってるにゃ?」
リケ・サンクチュアリには、丘の上にリケちゃんの「元」墓所・・・
いわゆる、「母屋」がある。
神殿内に、家族と共に生活する「離れ」が設置されているのだが・・・
「あちしが、長男産んだばっかの頃・・・
あの石段・・・
神官たちと総出で修理したにゃ・・・
石組み組んで、コンクリート打って・・・
石材埋め込んで・・・
大変だったにゃ・・・」
「何やったの!?」
「ウサギ飛びで、成層圏までジャンプして、「次の段に着地」。
繰り返して、一段一段昇っていくという修行にゃ・・・」
「人間技じゃないわよ!」
「当然、失敗すると先に行きすぎたり、そのままの場所に「落ちる」にゃ。
更に重力加速度が加わって、衝撃で穴が開くにゃ。」
そうか・・・
リケちゃんが、久々に工事をしたことがあったと聞いたのは、このためか!




