第607話 「寺」ノサウルス」
「にゃーははは!
できた・・・
できた・・・
できたにゃーッ!」
キティルハルム王国一のマッドサイエンティスト・総合導師ファクトリアは、個人用端末のモニター画面を凝視して、バカ笑いする・・・
「何ができました?」
ファクトリアの助手ミハイル・ミケランジェロが、ファクトリアの机の上にコーヒーのカップを置く。
「お疲れ様です。」
「気が利くにゃ♪」
ずずっと、コーヒーを飲むファクトリア。
「ついにティラノサウルスの遺伝子情報を再現・・・
合成が始まったにゃ!」
個人用端末から伸びるコードの先には、培養液が満載されたカプセルがあり、そこに卵が浮かんでいる。
「あんたが、手伝ってくれたおかげにゃ・・・」
ファクトリアは、ミハイルを抱きしめる。
「しかし・・・
どうします?」
そのとき、一人の若い女性が入ってきた。
「全く・・・
あいかわらず、アホなもの作ってるにゃ・・・」
色違いの評議員のローブを着ている。
「リ・・・リケちゃん・・・!?」
そう。
女神リケ・ミケランジェロだ。
「その卵は、あちしが引き取るにゃ・・・」
「ってことは、神殿仕えの恐竜?
「寺」ノサウルスにゃ?」
バキッ!
「痛いにゃ・・・」
リケは、ファクトリアの頭を殴った。
「あんたのおかげで、陛下はご苦労されてるにゃ!」
神殿仕えの・・・
だから、「寺」ノサウルス・・・




