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第508話 理想なれど

困った・・・


私は、執務室で頭を抱えた。


ついに、キティルハルムがこの問題に直面したといえる。


「だめだ・・・

これをやると、反発がおきるわ・・・

でなくても・・・」


かつて私は、前世で憲法に「自由恋愛の権利」の補足として「恋愛拒否権」の条項を加えるべし・・・


そう考えていた。


しかし・・・


キティルハルムは、高確率で恋愛が「成立」している国・・・


それをやるのは・・・


「無茶すぎる・・・」


そんな時だった。


ジョルジュが現れたのは・・・


「煮詰まってるね。」


「ええ。」


お茶を出し、ジョルジュに勧める。


「君と「リシテアール三賢人」を張れたのは、僥倖だよ。

この話題で真正面から議論できたリシテアールの人は、「旧ライテス」「勇者ルミナリア」だけ。

今は、君とアルナス君だけだ。」


「そうね。」


「だって、ご主人様はどっか君に似ていた人だったね・・・

ただ違うところは・・・」


「「恋愛結婚」したこと?」


「うん。」


ただね・・・


と、ジョルジュは続ける。


「どうあっても、恋愛の道だけが幸せだというのじゃないってことさ。」


「わかってるわよ。」


「焦らなくていい。

この問題はデリケートだ。」


「地球・日本じゃ、「手遅れ感」だったけど。

みんな、「こんな思いするなら」とか「自分だけじゃなく、相手を拘束するのがイヤだ」とか・・・」


「ふーん・・・」


ジョルジュは、考える。


「みんな、「優しすぎた」んじゃないの?

真面目すぎてさ。」


「それであなたのご主人様は、「おかしく」なってしまったんじゃないの?」


「そうだね。

ま、僕の場合はニコが・・・

君は、イリア君がいたわけだけど。」


私は、「法案」を書いた紙に魔法で火をつけた。


「やめるわ。」


「どうして?」


「後で、代替案や有効な案が思いつくかもしれない。

だいたいね・・・

こんなこと、女王一人がうじうじしてなんとかなるもんでもないし。」



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