第321話 全容
キティルハルム王宮・・・
普段は一般人であっても、謁見には使用されない謁見の間が、捜査結果の報告に使用された。
この事実からも、王家・評議会ともに重要視される事件であるとわかる。
「これより、警察並びに女王臨時特別捜査官・私立探偵ホームズ・ミケランジェロによる捜査報告を。」
女王補佐官イリアが、厳かに告げる。
「はいにゃ。」
ホームズは、思った。
なんだこの大層な肩書は?
ホームズは、事件全容を再現したアニメ動画を再生する。
内容はこうだ。
バルカン重工本社に採用された男女・・・
彼らは、傍目にも仲睦まじかった。
そして、仕事熱心で、たとえ部下がしたミスを上司が叱る行為でも、それがその人物の業務の正確さと冷静さを失わせる行為であるならば、許せないほどの高潔さを持っていた。
やがて、二人は社長リリに、ゆくゆくは次期社長秘書の候補に「勝手にランキング」一位と二位とされたのだ。
だが、おもしろくない者もいた。
上司のアルだ。
二人の能力の高さや性格がではない。
可憐なヒナに惚れ、たくましいシムスに嫉妬したのだ。
そこで、シムスを騙して殺害。
ヒナを「過労」に追い込み、自分に気をまわさせようとした。
しかし、潔癖な彼女は、そんな上司の酷使に対し、「職場を汚した」と考えるようになっていく・・・
恐らく、「下心」に感づいていたのだろう・・・
命の危険を感じた彼女は、用意した爆薬で自らの職場で爆発を起こし、自殺したのだった・・・
評議委員の半分は、涙ぐみ、また半分は憤怒の表情を浮かべている。
「あ・・・あ・・・」
アルは、その場から逃走しようとする。
「逃がさんにゃ!」
ホームズは、電光石火の動きで、アルを捕まえ、投げ上げる。
「・・・!」
空に舞い、関節を極めて、叫ぶ。
「マ○スル・スパーク!」
「ぐはッ!」
「見たか!
どっかの星の王様の必殺技にゃ!
へッ!?」
ゲロを吐いていた・・・
後日の裁判で、アルは「解雇」され、乳幼児専門シルク生産用の「蚕」の管理を一生させられるという刑に服された。
曰く・・・
死んだ後には、遺体は分解処理され「蚕用桑」の肥料にされるそうである・・・




