第3068話 ブラフ
「ブラフ?」
アメテが聞いてくる。
「まず、飲めない要件を突き付け、逆オークションのごとく「本当の要求」にもっていく外交戦術だ。
これは敵にやってもいいが・・・
同格や友好関係の相手にやると・・・
逆に「ナメられ」る。」
アルナスが答える。
「このブラフ王・・・
工業製品を買ってくれないのを相手の責任にしたうえ・・・
氷に覆われた自治領のある王国に、その自治領を「売れ!」と迫った。」
「この自治領・・・
今でいうキティルハルムと惑星ミリアリアのような関係です。
あと、自治領・・・
ここは現地種族が8割を越えていて、事実上の「独立国」。
ただ、国力がないため「保護されている」感じでした。」
「それって・・・
本国の王様も自治領の提督も怒るんじゃ・・・」
私の返答に、アメテが言う。
「ふう・・・
この国・・・
世界の警察名乗っていたくせに、二度同じことをやりかけたのですよ。」
「はあ・・・
そりゃ・・・
自分の意思を持った子分に、「属領になれ」と言えば、親分も怒りますよね。」
私は、ため息をつくアメテに言う。
「そこを言うと、あなたの上官はまだよいほうですね。」
「覇権主義などろくものでもない。
正直言うと・・・
私は二度の転生でも好きになれん言葉がある。」
私とアルナスが言うと、アメテは首を傾げる。
「それは・・・
「愛国心」だ。」
「ええ。
国への帰属意識、主君への忠義・・・
これらはよいものです。
が・・・
私は特に「愛国」という言葉が苦手です。
「覇権思想」や「全体主義」「共産主義」のようでね。」
陛下とアルナス卿は、「愛国心」が苦手のようです




