第3060話 アルナスが許せぬこと
「そういえば、君は私がなぜ強いか聞いてきたな。
それは・・・
人生三つ分の記憶と、それを基にした鍛え方だろう。」
「そうなんですか?」
「そうだ。
私は、一度目の転生時・・・
思ったのだ。
リシテアールの人間全てに言えるのだが・・・
鍛えれば鍛えるほど強くなる。
魔法も術をイメージしやすい。
最初の人生は、制限の多い世界だったのでな。
私から見て、制限が緩かった。」
「ん?」と考えるアメテ。
「じゃあ・・・
ヌルゲーだったんです?」
「そう思われがちだな。
が、他の者もスタートラインは同様だ。
だから私は愉しくて学びまくった。
鍛えまくった。
まあ・・・
この頑強な身体も応えてくれだが・・・」
「多趣味ってワケですね・・・」
「そうだな。
座学を学ぶのも、剣を使うのも基本は同じだ。
「義務で学ぶのではなく、愉しんで学ぶ」だ。」
そういえばと、アルナスはミリアム女王を思い出す。
「ミリアム陛下もまた多趣味だ。
ファクトリア閣下ほでではないが、機械や技術を開発し、生物学の研究で極地の海にまで行き、巨大な海洋生物の遺伝情報を採取されたこともある。」
「す・・・
すげえ・・・」
「私が善悪意外に個人的に許せぬものがある。
それは・・・」
「それは・・・?
自分の肉体にすばらしい力が宿っているのに、生かさぬことだ。
君は見てきたはずだ。
他から「神級」と言われながらも人間的な戦士たちを。」
アルナスは転生者なんですねえ・・・




