第3059話 アルナスの昔語り
「え?
刀傷一つついてない・・・」
アメテは仰天した。
「これぞ、トラルティール騎士団流究極奥義・ティアムレットバーストだ。
かつて、超魔王ガルアレートとの戦いの際、機械巨人をこの奥義で粉砕した女傑がいた。
当時の騎士団長だ。」
「ふえええ・・・」
そして、アメテは思ったことを聞く。
「こんな奥義・・・
ガチで使えるなら、アルナス卿は騎士団に入れたんじゃないですか?」
その言葉を聞いて、アルナスはふっと笑う。
「私は、二度転生していてね。
科学技術や錬金術の方が好きなのさ。
だから、王立錬金術学校に進んだ。
結果・・・
リシテアールの科学技術を好き放題底上げした。
まあ・・・
騎士学校のスカウトも来たがね。」
「いるんだ・・・
そういう人・・・」
「まあな。」
そう言うと、引き出しから箱を取り出す。
「まあ、休憩も兼ねてこれをいかがかな?
「山吹色のお菓子」だ。
邪馬台国の銘菓で、ミリアム陛下もよくアテナ様に献上する逸品だ。」
湯呑みを二つ用意してお茶をいれる。
「しかし・・・
アルナス卿って・・・
「人間族」ですか?」
その質問に、アルナスはニヤリと笑った。
「リシテアールにはな。
多種族交流が頻繁な国もある。
その「最前線」が我が「トラルティール」だ。
私は、魔法に長けたエルフ、
俊敏な人狼、
頑強な竜族の血が混ざっている。
これを「混雑種」と呼ぶ。」
「ず・・・
ずるい!」
「だが・・・
それだけではここまでにならんぞ?
こう見えて結構勉強したし、修行もした。」
混雑種。
それだけでは強くはならんのです。




