第3056話 授業
「君は・・・
生物はどんなものでも、遺伝情報で形作られていることを知ってるよね?」
「うん。」
「でもさあ・・・
これって、実は「生物の設計図」だけじゃないんだよね。」
「え?」
驚くアメテ。
「例えばさ。
ビルの鉄骨・・・
これが忽然と消えたら・・・
どうなるかな?」
「!!!
崩れちゃうでしょ!」
「そうさ。
つまり、生き物の身体というビルをしっかりと支えているのは、遺伝情報なんだよね。」
ジョルジュは、淡々と説明する。
「昔さ・・・
僕が悪さやってたころは、生命源物質・・・
タンパク質が主かな?
これに僕の遺伝情報と記憶を全て移管して、元の身体を棄てていたんだ。」
「クローン!?」
「似てるけど違う。
クローンは、「そのもの」を複製するからテロメアまでコピーしてしまい、寿命が加算されるのさ。
でも、これだとテロメアは加算されない。
自分の基礎寿命が100年だと、また100年生きられる計算になる。」
「それ・・・
不老不死じゃない?」
「うん。
リシテアールの人たちは「不死の法」と呼んでいるね。」
ただ・・・と付け加える。
「古代生物の化石は、この遺伝情報が壊される前に鉱物化したからこそ、完全な姿で残ってる。
けど・・・
戦いにも応用できたんだよ。」
「そ・・・
それって・・・」
アメテの背筋が凍った。
「敵の遺伝情報をまるまる消したらどうなる?
まあ、あんまりにも外道だから今はやらないけどね。」
「敵を・・・
ただの泥に変えられる・・・」
そういうところですね。




