第3045話 要塞ビッグウォール
「にゃーははは!」
建設中の要塞の内部の巨大モニターの前で、ナキが笑い転げた。
ユニィの歌に聞きほれる者も多かったが、ナキはエスメラルダス号の艦橋内の様子を観ていた。
「さ・・・
さすが唐揚げさんにゃ!
あの「チキン」ぶりは見事にゃ!
神々に認められる至高の「チキン」にゃ!」
散々な言われようだ。
「い・・・
いや・・・
ナキ閣下・・・
その言い方はひどいっすよ。」
エニルが、ナキにツッコんだ。
「ところで、要塞の名前・・・
決まったにゃ?」
「陛下のご提案で、ビッグウォールと決定したっす。」
「しかしねえ・・・
キティルハルムの艦隊ってすごいねえ・・・
わずか一週間で完成なんて。」
アメテが感心している。
「ウチらエル建設と建築ギルドだけじゃ、ここまで速くは無理だったっす。
陛下のご助力なければ、ここまでは・・・」
「え?
ミリアム陛下って何者?」
「ああ・・・
国じゃあ、災害があったら真っ先に飛び出して救助を始めるお方っすよ。
洪水のときなんか、川の両岸を魔法で凍らせて、堤防を築かせたこともあったっす。」
「それ、工兵の仕事じゃん!」
「その仕事のお金は、国のお金じゃなくて自分のお金で出したっす。
評議会は「自分の金でやるな!」って怒ったっすけど。」
「え?
金額よりもそっちがすごいけど・・・」
アメテは仰天する。
「高貴な人間ってのは、みんなのために率先して働くのが陛下のお考えっす。」
こうして、最前線の要塞ビッグウォールが完成した。
評議員の中で、いちばん貴族っぽくないのがナキです。




