第3039話 キティルハルムの民とは・・・
「ねえねえ・・・
エニル閣下!
キティルハルム軍って、派手な服着てる人少ないよね。
なんで?」
アメテがエニルに聞く。
「ウチの国・・・
金銀宝石・・・
そーいったモンは、機械の部品や錬金術の材料にしか見えないっす。」
「猫に小判・・・」
「そーいうことっす。
宝石なんぞ、昔・・・
大量に仕入れて、他国で売りさばいて一山稼ごうとした商人がいたそうっすけど・・・
ホラ・・・
ウチの国、宝石は高級品でも個人端末の安い部品程度の値段なんで。」
「ほええ・・・」
「でも、それを当時のウチの国には珍しかった王様の「ライル二世」に「やめとけ」って言われたんだそうっす。」
「なんで?」
首をひねるアメテ。
「当時開発されたばっかりの「新型顔料」を勧めたみたいっす。」
「あ!
聞いたことある!
今の顔料が普及するまでは、宝石や岩石、植物や金属を砕いて使っていたとか。」
納得のアメテ。
「そう。
最初に、次の女王・・・
画伯女王と呼ばれる女王が、好きに画が描けないので開発したら、国に普及し、宝石の値段が下がり、科学・錬金術研究がさらに進んだとされるっす。
なので、王様は「安くて普及できる。一方で商人も儲かる。」という新型顔料を勧めたっす。
けど・・・
初代ミケランジェロが、建国期に言った言葉も、王立図書館の記録に残っているくらいっっすねえ・・・」
「なんて言ってたの!?」
いきなりくらいつくアメテ。
「「人間族やエルフの貴族の贅沢は、理解できん。なんで貴金属を集めたがるのか。あんなモンは、研究の材料だろう。」って。」
「うあ!辛辣!」
「とはいえ・・・
ウチの国の経済の指標になっているのが・・・
彼女がつくった「黄金の熊の首」っす。」
「趣味悪ッ!」
アメテは、思わず叫んだ。
同じように給水していたエニルの従業員たちが、「うんうん」とうなずいていた。
猫に小判です。




