第3037話 身分制度
旗艦ミリアリア食堂・・・
「ぐびぐびぐび・・・
ぷはーッ!」
親方風の猫耳女性が、エナドリを一気飲みして、一息つく。
「ちょっといいかしら?」
私は、彼女に声をかける。
「あ。
いいっすよ。
って、アローム様の弟子ってこのお嬢さんですか。」
「ええ。
アメテ・ユズ少尉です。
見どころのある戦士ですよ。
エニル。」
「え?
このどう見てもベンチャー系建築業の親方にしか見えない女性が「建築ギルドマスター」!?」
「これ!」
私は、アメテをたしなめるが・・・
「まあ、いいっすよ。
私は、エル一族の当主エニル・エル。
キティルハルムの大工仕事の大番頭っすね。」
「!!?」
「彼女の一族の始祖は、王都の建設計画を一手に引き受け、建築学を極めたエリートです。」
「はわ~・・・」
私の補足に、仰天するアメテ。
「まあ・・・
陛下と一度、キティルハルムの身分制度について聞いた人は、みんなお嬢さんのような反応をするっすよ。
基本的に、キティルハルムの身分制度は建前上・・・
「王家」「一級貴族」「建国期の評議会の直系」「平民」っすね。
まあ・・・
歴代の王・女王は、長子を王太子に任命。
しかし、基本的にそれ以外は要職に就くか、自分で仕事につくっす。
これを「一級貴族」って言うっすけど・・・
一級貴族は、ほとんど平民のような感じっすね。
平凡な仕事をしている人もいれば、まんま平民に嫁ぐ人もいるっす。
アルム家やデイブランド家、ミア家なんて貴族的なイメージで言われるっすけど、各式の高いだけの平民代表の名家みたいな感じっす。」
「それって・・・
王家の血を平民に還元してるだけじゃ・・・」
「そうっすよ。」
アットホームな王国です。




