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第303話 特製ソース・・・

「ちゃーっす!

きたよーッ!」


白衣を着た、科学導師風の男がやってきた。


ちょろりと伸びた尻尾と、獣人としては小さめの耳で、彼の出自がわかる。


胸ポケットからは、小さなネズミが顔を出している。


「って・・・

なんですか!

この赤い調味料は!?

私に恨みでも、あるんですか!」


「あ・・・大魔王・実験用マウス一号・・・」


「・・・と、その奥さんにゃ。

何しにきたにゃ?」


「料理を食べに来ては、いけないのかい?」


アリアの問いに、実験用マウス一号が応える。


「こ・・・これって・・・

私が、アリシアさんに塗られた軟膏・・・」


「違うにゃ。

ちょこっとのハバネロとたっぷりの香辛料。

それとトマトを合成したごく普通のソースにゃ。」


びくつく、実験用マウス二号にアリアが返答する。


「ときに・・・」


意地悪く、アリアがにたっと笑う。


「ウチの「商工ギルドマスター」特性の軟膏はどんくらい「辛かった」にゃ?」


「!!!」


声も出さずに、涙を流す実験用マウス二号・・・


「もう治ってるから、気にするなよ・・・」


実験用マウス一号が、実験用マウス二号の頭をなでる。


がぶッ!


「あだッ!」


実験用マウス一号は、実験用マウス二号に噛み付かれた。


「ネズミさん・・・

デリカシーがないの・・・」


「そうさな・・・

女性にょしょうとは、もっと細やかに扱わねばならぬ・・・」


「・・・・・・」


ユニィとニニギの言葉に、なにも言えなくなった実験用マウス一号だった・・・

そう・・・

女性はデリケートなのです・・・

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