第2962話 高貴なる者の義務
「高貴なる者は、下にいる者を守るために、自らが戦わねばなりません。
また、戦なくしても・・・
率先して、奉仕義業を行わねばなりません。
これを「高貴なる者の義務」と申します。」
「き・・・
貴様は・・・
これだけ多くの兵器の開発に・・・
どれだけつぎ込んだ!?
血税であろうが!?」
グラドランは、私を睨みつけた。
「はあ・・・」
私はため息をつく。
「これでも私・・・
「個人事業」で稼いでいるんですよ。
大半は、生活費や開発費に回していますね・・・
困ったことに、家臣からは「国庫から使え!」と文句を言われますよ・・・」
よく言われるんだよなあ・・・
「対して、あなたは・・・」
私は、宮殿内を見渡した。
「純金の自分象・・・
趣味悪いにゃ・・・
確認できるだけでも、300体はあったにゃ。」
げんなりするナキ。
「ウチの初代様でも、ここまではしなかったし・・・
陛下・・・
そーいう像をつくる機会があっても嫌がるし・・・
もう少し、国の「権威」の自覚が欲しいにゃ。」
「うるせい!」
「はああ・・・
ウチの陛下・・・
国の発展には、国庫は積極的に使うのに・・・
兵器開発やインフラには、自分のサイフから出すにゃ・・・」
ため息をつくナキ。
「あんただってねえ!
評議員正装の時は、評議員ローブの下に着ているのはツナギでしょうが!」
「めんどいにゃ。」
ナキは、懐からバールを取り出す。
ご丁寧に「バールのようなモノ」と刻印されている。
「どっせいッ!」
バキッ!
グラドランの黄金象の一体を破壊する。
「コレ・・・
さぞや高いかと思ったら・・・
金との合金でもなく、ただの純金にゃ。
まったく・・・
これほど成金の独裁者なら、もっといいモノかと思いきや・・・
リシテアールじゃあ・・・」
すっと目を細めるナキ。
「猫」さながらに。
「安物にゃ。」
ノブリスも過ぎるとねぇ・・・




