第296話 キティルハルムの役目
私は、執務室にいた。
そもそもの、「キティルハルム」という国名・・・
それは、二代目女王の名からきている。
普通は初代王が、名乗った名から始まるのだが。
実をいうと、王立学校で「特別講師」を始めたのが、二代目女王キティルハルムなのだ。
だから、「教授女王」なのだ。
「そう・・・
初めてみせる・・・!」
私は、評議会で可決された「総合心理学学科設立要綱」の書類に、紋章印を捺す。
「国母」という理由で、「長女」と同じ名をつけるとは・・・
実は、何人か教師は育成できている。
イリアがかつて、銀河軍の仕官と話をした際、銀河でもそういう教育はなされていなかったようだ。
「まったく・・・
どうしてこういうことに気づかんのかしら・・・」
これでは、ウォルストの言葉ではないが、また超魔王が別の方向で誕生してしまう。
「それだけは避けたいわ。
私たちに全てを託してくれた、ハルカ博士のためにも・・・」
執務の時間が終わり、窓を開ける。
「まったく・・・
君主って大変ね・・・
私が一国の「王」やってるのでこんなに大変なのに・・・
「世界の王」をやれって言われて、きっぱり断ったライテスの気持ちもわかるわ。」
かつて、ご先祖様は「国民の母」で「国民の師」だった。
「名実ともに、「学術都市の黒猫先生」をやってみましょうか・・・!」
私は、猫さながらに伸びをした。
他人事ではありません。
超魔王のような者が、いくらでも誕生しています。




