第2920話 白き猫男爵
「あ・・・
あの機体はなんだ!?」
「キティルハルムの高級士官機か!?」
「討ち取れ!」
戦艦ミリアリアの艦橋の上に立った、純白の機体に色めき立つベルテアスの部隊。
その機体の右肩には、白い猫男爵の紋章が描かれている。
「ふッ・・・
キティルハルム女王補佐官イリアを甘く見るなよ?」
イリアの機体は、背から神波動翼を飛ばす。
さらに、神波動槍を展開する。
「はあッ!」
一瞬。
それで、ベルテアスの機動兵器隊は大きく数を減らす。
「み・・・
見えなかったぞ!?」
「は・・・
背後を・・・
って・・・
うわああああああああああああああッ!」
背後を取ろうとした機体は、さらに背後から神波動翼に撃ち抜かれる。
「き・・・
貴様!?
後ろに目がついているのか!?」
敵パイロットが叫ぶ。
「そんなワケなかろう。
私は妖怪か?」
ニヤリと笑う、イリア。
周囲を見ると、補佐官親衛隊に次々と墜とされる敵機。
「くくく・・・
将を討てばよいというものでもあるまい?
中には、それにこだわるあまり、背後から討たれる者もいるのだ。」
そうして・・・
戦艦ミリアリアは、中枢へと歩を進める。
一方、トラルティール艦隊のアルナス艦・・・
「ほほお・・・
さすが、あの陛下の亭主だ。
やるもんだ。」
アルナスは、不敵に笑っていた。
イリアの紋章の意匠は、あの「猫の男爵」です。




