第2879話 綺麗ごとを言うための力
「さて・・・
「神殺し」といえど・・・
全てが「悪」ではない。」
シェス神は、語る。
「神とて・・・
理不尽な神罰を加える者・・・
さらに、上位神を無視して人間に無体を働く者・・・
神々に背く者もいる。
逆で、魔王・大魔王にも、人間や神に迎合し、神に仕える者もいる。」
「そう言えば・・・
地球の超魔王サタンや・・・
三賢人のジョルジュ閣下もそんな人でした。」
「うむ。
やがて・・・
あまりに手の負えぬそう言った「邪神」を処すには・・・
「神」の力・・・
「人間の科学力」・・・
この二つを駆使して戦う「神殺し」が有効で・・・
彼らは、こちらの宇宙を平定するために「神」の下請けで正確に言えば「邪神殺し」をするようになっていった。
我ら、創造神王もかつてはそんな「邪神殺し」だった。」
シェス神は、言葉を切る。
「そんな中で、最も神々の理想だった「神殺し」は・・・
現在の三賢人最強のミリアム女王さ。」
言葉を引き継いだルカ神が、語る。
「さすが・・・
激動の時代を「二度」も生きているよねえ・・・
いくら君が、優れた女王でも言えるかい?
「それはしょせん綺麗ごと。
しかし、神も人もそれを求めて発展してきた。
言うことをやめれば、全てが終わる。
故に私は、誰一人言う者がいなくなっても、「綺麗ごとを言う女王」はやめない。」って。」
ケトは、後頭部を殴られた気分になった。
「それで・・・
そちらの神の中には・・・
感化されて、そういう神さえおられるという訳ですか!?」
「正義なき力は無力。
されど、力なき正義もまた無力。」
「!!!
それであんなに・・・」
ケトは、ハッとなった。
一方で・・・
「シェス様!
とうとう、リケ神と手勢が楽神艦の艦橋に迫ったようです。」
通信で、シルフィード神が報告してきた。
勇者の師匠からの受け売りです。




