第2856話 キツネの実験と人間家畜進化論
「キツネが・・・?」
ケトが言う。
「ええ。
実験の結果・・・
代を経るごとに人間好みの姿や正確に変わっていったと言います。
遺伝情報も、だいぶ変わり・・・
元のキツネとは大幅に変わっていました。」
「進化したのですね・・・」
「ええ。
中には、人間とのスキンシップを求め、甘える個体もいたそうです。
彼の論文を読んだ人類学者が・・・
ある持論を展開したのです。」
「ほお。」
食らいついてくるケト。
「人間は・・・
元の生物がなんであれ・・・
社会を築くと、邪魔になるものがあるのです。
社会や同胞を「守るための闘争本能」は必要ですが・・・
社会や同胞を「攻撃するための闘争本能」は不要となります。
だから、「そういった者」たちは排除され・・・
「弱い者」や「守るための力を持つ者」だけが、絶対的強者となるように進化していったのです。
それが、「人類家畜進化論」です。」
それを聞き・・・
ケトはハッとなる。
「まさか・・・
この宇宙の進化は・・・
戦術は・・・」
「そうです。
意味なく弱者を排除する者を排除する方向性で進化した結果です。
さらに・・・
タルタロス宇宙の方々にもわかっていただきたかった。」
それを聞き・・・
「まだまにあうにゃ。」
ファクトリアが言う。
「そのためにこそ、あちしがいるにゃ。」
説得力ねえぞ。
「そうですか・・・
この女王に人柄が分かった気がします。」
ケトは、魔改造が進む旗艦を見て、心強そうに微笑んだ。
あるんです。




