第2840話 キティルハルムの外交2
キティルハルム王宮・評議員室・・・
「ゆるさんにゃ!」
ニスは、激怒していた。
彼女は、当時の商工ギルドマスターである。
出陣の前夜に王都に突然夜襲をかけられ、防衛線に移行。
ニス自身、爆薬を詰めた壺を屋根の上から落とそうとして、弟子に止められているが。
そんな状況を謝罪に女王補佐官を送るも、いきなり「殴られた」のだ。
これは「王権」ひいては、「民衆」を侮辱されたことに他ならない。
「これより、交易用の関所の封鎖に賛成の方は起立を。
反対の方は・・・」
宰相ワイド・エラルが言い終わる前に、ニウ一世女王とティルスを除く全てが起立をしていた。
歴史上初めての、女王の票が無効となった評議会であった。
「使者には、あちしが立つにゃ!」
ニスは、評議員用のローブをまとう。
「ティルスは優しすぎるにゃ!
暴力主義者のウズドガルドには、あちしが文句つけてくるにゃ!」
ニスは、評議員杖を振るう。
実は、ミケランジェロ家は「外敵」に最も容赦のない家系でもある。
「くくく・・・仮に、「分裂戦争」が起こったら、「ウズドガルド派」は「孤立状態」になるように調整してやるにゃ!
「食い物の恨み」は、破壊神より怖いにゃよ!」
ニス・ミケランジェロ・・・
当時・・・
彼女こそは、女王より怖い女だった。
東トラルティール首都・トラルティア城・・・
ここに、連合軍の首脳陣が集結していた。
「使者殿のお着きです。」
王太子トラルティアの侍女・ニーナが告げる。
そこへ、一人の人猫が現れる。
「なんだ・・・女か。」
ウズドガルドが呟いた。
その次の瞬間、使者の姿は掻き消え、ウズドガルドの背後に現れた。
「キティルハルム評議員・ニス・ミケランジェロにゃ。」
「「「!!!」」」
首脳の中には、戦慄を覚えた者もいた。
かくいう、トラルティアもその一人だ。
「あの、恐怖の「宗教審問官」・・・」
「信仰と宗教はギリで認めるが、布教・宗教活動は認めないという・・・」
彼女の「宗教審問」で、「ケツ」を「四分割」された宣教師は数知れず・・・
「この女を送り込んできたということは・・・」
「うむ・・・
キティルハルム王国は、「アレ」に猛抗議しているということか・・・」
ニスは、ニッと笑う。
「あちしらは、女でも男同様の仕事をするにゃ。」
言うと、ニスは宣言する。
「『先日の女王代理の謝罪を受け入れず、暴行を働いたことに抗議し、我が王国は食糧援助・技術供与を一切差し止めるものとする。キティルハルム王国評議会』ここに、王家の紋章印もあるので、法的に正式なものにゃ。」
ニスが示した書面には、キティルハルム王家の紋章印が押されていた。
「目には目をというけど、あちしらは「目には拳を」・・・歯には「刃」にゃ。
覚えておくにゃ、この暴力男!」
語尾に反して、ドスのきいた声と憤怒の表情で啖呵を切った。
「にゃーはははは!「経済制裁」をくらうにゃ!」
「惑星の食糧を賄うとは・・・
それで「兵糧攻め」とは、豪胆ですね・・・」
ミネルヴァ神が、チキンを食す。
「まあ・・・
ニス・ミケランジェロにしても、当時の書記に「我ながら武力に訴えることを主張しなかったのは、理性的だった。」と記しています。」
私は、コーラを飲んで答えた。
「食い物の恨みは、破壊神よりコワい」。
ニス・ミケランジェロの明言です。




