第2834話 王家の「変」な至宝
かこーん・・・!
「ぎにゃあああああああああああああああああッ!?」
鹿威しと獅子脅しにかかった人獅子の声が響く・・・
「・・・
ステラ・・・
助けてやるにゃ。」
「はい・・・」
捨て鉢なリケ神の指示に、しぶしぶ従うステラ。
「あ・・・
あの・・・
なんか・・・
例外的な「ブツ」があるようなないような・・・」
ハルカ神が言う。
すると、アロームが情報版で画像を読み出す。
「王家の至宝・黄金の熊の首だし。」
そこには・・・
熊の生首のような金の塊が・・・
「え?」
「確かに、キティルハルムの民は貴金属に興味ないにゃ。
けど、「お金」としての「金」は他の人間と感覚は近いにゃ。
そこで・・・
初代様は、価値基準としてのインゴッドとして・・・
ウチの母ちゃんにつくらせて献上させたにゃ。」
「趣味わるいな・・・」とは言えないハルカ神。
しかし・・・
リケ神は首を横に振る。
「わかってるにゃ・・・
これは・・・
実は山籠もりの修行をしていた初代様の次女・・・
アルム家初代のアルム閣下が仕留めた熊の首を、石膏どりして・・・
金で鋳造したモノにゃ・・・」
棒読みで解説するリケ神。
「他のものでいいような・・・」
思わず、言ってしまうハルカ神。
かつて、これを見た「熊さん」はドン引きしていた。
「ってなわけで・・・
こんなモンでも盗まれたらヤバいにゃ。」
ふぅ・・・とため息をつくリケ神。
「しかし・・・
多くの絵画が飾られていて・・・」
ハルカ神が、宮殿応接間の画を思い出して言うが・・・
「アレ・・・
王家の宝だけど・・・
どっちかというとインテリアにゃ。」
趣味わるいなあ・・・




