第2825話 どったんばったんッ!
デイブランド工房・・・
「おらッ!
待てッ!」
デイブランド工房の主エニアス・デイブランドが、メディルを追い回していた!
「いやーッ!」
逃げるメディル!
その喧騒は、表にも響いていた!
どったんばったんッ!
「まーたやってるにゃ・・・」
肩をすくめるリケ神。
「そ・・・
それって・・・」
「わけわからん」という表情のハルカ神。
「それは・・・
当主で会長のエニアス・デイブランド氏は・・・
お得意様や、見どころのある新人を捕まえては・・・」
がちゃり。
扉が開き、一匹のネズミを右手で掴むエニアスの姿が・・・
「うう・・・
捕まったぁ~・・・」
ネズミは、エニアスから逃げる途中で、メディルが変身した姿だった。
「変身して、逃げればいいというモノではありません。
なにより私は「猫」ですし・・・」
「捕食者の目」で、メディルを見るエニアス!
「そ・・・
そうでした・・・」
「・・・と、このように相手を追い回し・・・
着せ替え人形にするにゃ。
相手がねずみであってもこのように必ず捕獲するにゃ。」
リケ神の説明に、心の中で「ってか、猫だろ!?」とツッコむハルカ神。
「それにしても・・・
あのジョルジュの一族・・・
そっくりですねえ・・・」
逃亡に全力を出し切ったのか、メディルは片手だけ振って応える。
「さて・・・
ハルカ神?
お仕事ですね?
どのようなご用件で?」
ぐったりしたメディルを掴んだまま、エニアスは尋ねる。
「え・・・
ええ。
だいたい・・・
資金は4万ノワール。
「神々のローブ」にふさわしいローブを仕立てていただきたいと・・・」
ちょっと引き気味に、ハルカ神は切り出した。
逃げるネズミ!
追う猫!




