第2822話 メディル、職人としては
シルフィード神は、帰っていったが・・・
「メディル・・・
この格好・・・
どうにかならない?」
私は、メディルに言う。
「この服装が私の趣味なんですよ。
工房にいても、隙あらば会長はいじろうとして困りものですから・・・」
トレンチコートに鳥打ち帽という、新聞社のバイトの号外小僧のような格好だ。
デイブランド工房で、おもちゃにされないか心配だ。
「・・・逃げ回ってます・・・」
だが・・・
「ん?」
メディルは、目ざとくあることに気付く。
「ッ!!!」
私に近寄ると・・・
素早い動きでなにやらやる。
そして・・・
「ローブにほつれがありました。
ご無礼を承知ですが、手直しさせていただきました。」
見ると、ローブの一部が新品同様になっている。
針の跡すら見えない。
「これは・・・」
すごい逸材だ!
余計な外見修正がないのもなおいい。
「これなんだけど・・・」
私は情報版で情報を読み出す。
そこには・・・
彼女の「給与明細」が・・・
「ごめんなさい。
勝手に見て・・・」
「いいえ・・・
いいんです。」
心底、うんざりした表情のメディル。
私は「個人情報」を覗いたことに謝罪したのだが・・・
「かなりの金額でしょう・・・
ウチの上役は、何を私に期待しているのやら・・・」
腕がいいのは確かなんだが・・・
まあ・・・
こういう服装だから、「狙ってきそう」で心配ではある。
かなりやぼったいです。




