第2814話 服屋の小娘
「って・・・
どういうことです?」
リケ神の脇から、ひょっこり姿を現したのは・・・
「お久しぶりです、陛下。」
トレンチコートにハンチング帽という少女だ。
「あなたは・・・
デイブランド工房の・・・」
「はい。
聖大魔王ジョルジュの孫・メディスです。」
帽子を脱ぎ、ネズミ耳を出す。
「あの工房も多種族化してきたわねえ・・・」
「服屋の小娘にゃ。」
私が感慨深く言うと、リケ神が憮然とした声で言う。
「それでですねえ・・・
綜合導師として名高い陛下に、対魔法素材としてよいものをお伺いしたいのですが。」
さすがジョルジュの孫。
抜け目がない。
「オリハルコンにミスリル・・・
そのあたりね。
でも・・・
なぜ私に?
いっそファクトリアに聞いた方が・・・」
すると・・・
「ご・・・
ご勘弁を!
あの方・・・
エニアス様の使いでお屋敷に行ったとき・・・
私・・・
コワかったです・・・」
メディルの脳裏には・・・
ワケのわからん水槽・・・
難解な機械・・・
モニターに常時映る意味不明な数式が浮かんだ。
「仕事熱心なのはいいけど・・・
あなた・・・
そのままだとエニアスに「いじられる」わよ。」
「そうにゃ。
あの方は・・・
あちしの「神の正装」に文句つけてきたにゃ。」
「お・・・
畏れ多い!
か・・・
「神」に!?」
ビビるメディルだが・・・
「かつてあちしの正装は「評議員のローブ」だったにゃ。
でも、その上に女神のキトンでなんとかごまかしたにゃ。」
うんざりした表情だ!
「ところで・・・
話しておられましたけど・・・
時間魔法って・・・?」
「よくぞ聞いたにゃ。
それこそ敵が次に使ってくると思われる魔法にゃ。」
メディルに決定!




