第2806話 聖大魔王の講義
「おやおや・・・
では、対案はないんだね?
コリアス大統領。」
そう言って教授のような服を着たジョルジュが現れた。
子供のような丈なので、いつもの白衣と違って、「着られている」感がある。
「ば・・・
バカモノ!
貴様こそなんだ!?
あからさまな殺戮兵器や細菌兵器を使いおってからに!」
コリアス大統領は、自分の無能を棚に上げ、ジョルジュをなじる。
が・・・
「ふーん・・・
じゃあ・・・
今、あなたの国の艦隊が出る羽目になった際・・・
ファクトリア閣下にたのんで、「ジョルジュ・ワクチン」簡易量産型の「副反応」を強烈なものにしてもらってもいいんだよ?
君みたいに、「敵意を持っていない国」を勝手に敵国呼ばわりする王様は、ここにはいないしね。」
ジョルジュは、ネズミの尻尾をちょろりと動かす。
「まあ・・・
タルタロス宇宙って、どうやら侵略好きの連中らしい。
ここの「大統領」みたくね。
しょせんは、綺麗ごとでは防衛はできんのさ。
けど・・・
「綺麗ごとをいうための力」の一部になれるなら・・・
手段は選ばんよ。
僕は。」
顔を真っ赤にするコリアス大統領。
そこへ・・・
一人の黒猫系猫耳女医が現れる。
「おや?
これが陛下が言われた・・・
「火病」ですか。」
彼女は、注射器を取り出し・・・
コリアス大統領の首筋にぷすっといく。
「あだーッ!?」
「精神安定剤です。」
言うと、去っていく。
「あ~・・・
戦場でも活躍したからなあ・・・
キティルハルム医局総監ドリス・ミア。」
ジョルジュは、続ける。
「まあ・・・
今言った「ジョルジュ・ワクチン」・・・
普通の人には強力すぎるからねえ。」
そこで・・・
一人の神が声をかける。
「それはそなたに効く毒が「放射能」だけだからだ。
いるか?
そんな完全生物!」
「違いない!」
医神アスクレピオスに、ジョルジュは軽口で答えた。




