第2782話 肉を切らせず骨を断つ
ユニティア艦橋・・・
「にゃーははは!
爽快にゃ!
手出しをさせまくって、こっちはなにもしないなんて!」
ミラがバカ笑いしている。
「むしろ、ウチの母ちゃんのほうが喜びそうな戦術にゃ!」
だが・・・
「あなたの母上にやらせると、むしろ調子に乗るの。」
呆れた表情のユニィ。
「確かにそうにゃ。」
こうしていると、敵艦が「勝手に」爆散していく。
「ただ・・・
癪なのは・・・
あのアホ科学長官の新システムがモノを言っていることにゃ。」
神波動動力炉の出力増幅に関連する「神波動チャージャー」の導入により実現した戦術でもあったのだが・・・
「ん?
この戦術・・・
昔、誰かがやっていたような気がするにゃ。」
「ウチのアホ息子なの。」
げんなりするユニィ。
「この戦略を思いついたのは母様だけど・・・
昔、ファルティアのアホがやってたの・・・」
そう。
「ああ・・・
ご子息のファルティア皇帝陛下にゃ。」
そーなんである。
彼は、魔法兵団に対し、対魔法結界を展開した宇宙戦艦で、「まったく攻撃をしない」という戦略をとって相手を屈服させている。
「まあ・・・
このようすだと・・・
タルタロス宇宙では、こういう発想はなかったみたいなの。」
実のところ、こういう戦略を執られたなら、一旦攻撃をやめればいいのだが・・・
「相手もアホにゃ。
殴った拳を自分で砕いているにゃ。」
ミラが言う。
「さしずめ・・・
「肉を切らせず骨を断つ」と言ったところなの。」
ユニィは、ニヤリと笑う。
「猫」さながらに。
「お母上そっくりにゃ。」
ミラは皮肉を込めて言った。
血は争えません。




