第2776話 マルチバース
「ところで・・・
「マルチバース」とは知っておるか?」
ヘルメス神が尋ねてくる。
「はい。」
私は、呪文を唱え、スクリーンを出す。
そこには・・・
群青の球体が浮かび上がった。
そこに、無数の球体が中に・・・
「陛下・・・
これ、なんだい?」
唐揚げさんが質問してきた。
「この球体が、宇宙の「外の世界」ですね。
中の無数の球体こそ、「宇宙」です。」
「マジ!?
これ・・・
まるで生き物の細胞の最小単位みてえじゃん!
そーいやあ・・・
地球の「神」って呼ばれた漫画家が似たようなことを・・・」
「それ以上のことはわからん。
つまり・・・
わかっていような?
チキンよ。
この「外の世界」こそが「マルチバース」だ。」
「ああ。
早い話が・・・
この宇宙と同じような宇宙が、ゴロゴロとあるってことだよな?」
「そういう認識でよい。」
まるで、唐揚げさんとヘルメス神の会話は、子供と天文学者の問答のようだ。
「ところが・・・
ですね・・・
どうやら、外の世界の宇宙には・・・
この宇宙の神々や人間のように基本は「善」という者ばかりではなかったようなのです。」
私が言う。
「・・・
であるなら・・・
タルタロス宇宙の主神・ウリナラース神は・・・
自分が来るなり、使いを寄越すなりして、早急に和平を図ろうとするでしょう。」
ここまで戦力が削られてもだ。
「だよなあ・・・
それだけエラい神様なら、ウチのデウス・エクス・マキナ様みたいに、人間同士の戦争までなら止めるか手を出さないモンだぜ。」
「うむ。
それについては・・・
こちらではうるさかったのが、エホバ神やオーディーン様なのだがな。
ともあれ・・・
そなたらの功績で、小競り合いは残るものの・・・
安定しておる。」
ヘルメス神が答えた。
「さすがに「マルチバース」外のことは我々や創造神族と破壊神族の方々も疎い。
シェス様やヴァムラム様辺りが、混沌神族の方々にお聞きしてくださると思うが・・・」
マルチバース・・・




