第2755話 過ぎた科学
キティルハルム王宮・・・
私たちは、祭祀惑星エリュシオンから帰還していた。
「まったく・・・
科学導師のくせに、できんとはどういうことにゃ!」
ナキは、なぜかキレていた。
「あの「重い槍」ってなんですか?
ナキ・ミケランジェロ・・・」
呆れかえった顔のハルカ神。
「オリハルコン・・・
ミスリル・・・
鉄・・・
どれが重いか・・・
そう考えたら、鉄がよかったにゃ。」
ナキが答えた。
「そう言えば・・・
かつてのトラルティールの分裂戦争でも、武具の金属がモノを言ったとか。
やはり、オリハルコンは鉄より軽いわけですね。」
ノワール神が言う。
「それと、電磁加速砲の砲弾も「鉄」メッキです。
磁場に最も強く反応するのが鉄ですし、ナキは「重力加速度」を重視しています。」
私が返答した。
「速度と比例して重くなる・・・
つまり・・・
威力が増していく・・・」
「まあ・・・
今の科学導師・・・
オリハルコンにばかり目がいっていますしね。
みな、盲点だったでしょう。」
楪の魔女様が言った。
「私は、いつでも出られるように「要塞空母艦エレノーラ」の準備をしておきましょう。」
楪の魔女様は、転移魔法で消える。
「ときに・・・
捕虜の尋問はどうなりました?」
ハルカ神が尋ねてきた。
「ええ。
いろいろと聞けましたよ。
いろいろとね・・・」
私はニヤリと笑った。
「猫」さながらに。
「鉄」・・・
バカにできません。




