第2748話 不寛容は弱者の証明
「陛下!
創造と破壊の竜・精霊王の離脱を確認したにゃ!」
ミリアリア艦橋・・・
ナキが報告する。
「総員、砲撃!」
私の声に艦隊は、猛攻撃を開始する。
神波動閃熱砲・・・
電磁加速砲・・・
あらゆる攻撃が、生き残った艦を撃沈していく。
「陛下・・・
人間って、「自分を家畜化」して進化したってガチにゃ?」
モニター越しにリケ神が聞いてくる。
「ええ。
キツネを犬にできないかと考えた生物学者がいてね・・・
その経緯を論文で読んだ人類学者が、そう仮説をたてたのよ。」
「うーむ・・・」
「地球発祥の原人「クロマニヨン」とかつての「現人類」の直接の先祖「旧人類」を比べると、すでに肉体的には「完成」と言っていいのに、猿みたいな顔をしている。
それは「戦闘を意識してストレスフル」な状態だったから。
しかし、「旧人類」となった段階では・・・
比較的穏やかな顔をしている。」
言っている傍から、サイレ艦隊の残存艦が爆散していく。
「人類は・・・
外に向けられるのならばともかく・・・
「社会」ひいては「自分」に向けられる力を排除しまくったのよ。」
ややあって・・・
「ルウ様、座上艦に着艦。」
ナキの報告。
「では・・・
ルウ様に指揮権をお返しいたします。」
そう。
「人の社会にとって「不寛容」とは、「排除されるべき弱者」の証明なんですよ。」
哀しいことに。
そうかもしれません。




