第2732話 国母
キティルハルム王立図書館・「最初の部屋」・・・
「・・・で、どうであった?
浄仁大帝という男は。」
オーディーン神が私に尋ねた。
浄仁大帝は、ユニィがユニィティアで送っていった。
「はい。
紛れもなく、「現人神」です。」
私は、「フンババ!」と書かれた湯呑みでお茶を飲んだ。
「うむ。
時におるのだ。
そういう人間が。」
太古に、人間と神とが結婚した場合・・・
強く「神の遺伝情報」が残る場合がある。
こうしたケースでは、王族になったり、連合国の最上位王「皇帝」となる場合もある。
「地球の・・・
ファラオ・・・
ローマ皇帝・・・
いくつもの「現人神」が存在したが・・・
おろかにも、奴ら・・・
自分で滅ぼしてしまいおった。」
オーディーン神は、ため息をついた。
「まあ・・・
私はただの「人間」ですがね。」
「それでもお主は、見抜いたではないか。
予備知識があったとはいえ。」
まあ・・・
私が「亜神」であるのは、「後天的」なものだ。
「まあ・・・
プロメテウス神は、そういう先天的な視点があったのであろうな。
だから地球で「人間」を創造した。」
「とはいえ・・・
銀河皇族に戦力として無理強いもできません。
私たち三賢人が、やはり矢面に立たないと。」
それを聞き・・・
「無理をするでないぞ?
そもそも亜神でないとはいえ、なぜユニィとかいう娘がお主におるのだ?
アルナスとて、勇者である娘がおる。」
いたわるように言うオーディーン神。
まあ、わかるんだが・・・
「「親の性」でしょうかね・・・
自分が死んだあと・・・
あるいは譲位した後、可能な限り障害は排除してやりたいのですよ。
それは国民に対してもです。」
「なるほど。
お主が、「国母」とされるのもそう考えるのがゆえんか。
とはいえ・・・
ブッダも言っておる。
「身分相応」・・・
「中道」とな。」
そういうモノです・・・




