第2731話 人間臭い電算機
巨大な扉の脇に、二体のチルド・スパコーンが守衛として控えていた。
しかし・・・
「寝てる・・・」
彼女たちは寝ていた。
「・・・」
案内のチルド・スパコーンは、構わず扉に手を当てる。
ゴゴオオオオオオオオオオン・・・
音を立てて、扉は開く。
「あんの機械・・・
まーたくだらないアップデートして・・・」
私は毒づいた。
中央電算機室・・・
ここでは、埃を掃除する者や、機械部品を運ぶものがいた。
みなチルド・スパコーンだ。
「おや。
仕事中でしたかな?」
浄仁大帝が、人間大のホログラムに声をかける。
「いやいや・・・
一段落ついたんで、案内人を寄越したんで、問題あらへん。
浄仁大帝、今後よろしゅうに。」
敬礼をするスパコーン。
「しかし・・・
これほどの魔法科学のスーパーコンピュータ・・・
なかなかつくれませんねえ。」
「ウチの開発者?
それは、三賢人の方々や。」
よどみなく答えると、スパコーンは私を見る。
「命名者は、ミリアム陛下や。
「中央電算機」の略が「スパコン」と言うのが気に入らないという理由や!」
ジト目で私を見た。
「ははは!
なかなかユーモアがおありで。」
にこやかに笑う浄仁大帝。
「しかし・・・
あなたの性能もなかなかですよね。
ウチの「エンペラス」も、性能は高いが・・・
いつも水を開けられている。」
「最近、こいつ・・・
自分勝手にアップデートしまくってるからね。」
「レディ・マウス」をいつものように、暴露されたジョルジュは、機嫌悪そうに言う。
「ジョルジュ閣下・・・
ウチのような電算機のモットーは、「いつ裏切るかわからないように見えて、主たちに絶対服従」というのがすばらしいんや。」
悪代官のような表情のスパコーン。
非常に人間臭かった。
趣味悪いです。




