第2729話　星の始まりの遺跡

旧パスキールパレス・市街地・・・

ここは、かつて・・・

古代で大破壊の舞台になった場所だ。

無残に破壊されているが・・・

それでも原型を留めている。

そこにあったのは、一軒の家屋。

ガラスが割れ、散乱しているが・・・

生活感が残っていた。

「ここが、初代様が楪の魔女(エレノラ)やガチョウおばさん(マザーグース)と共に住んでいた邸宅です。」

私は、浄仁《きよひと》大帝に説明した。

「地球で言う、モヘンジョ・ダロやマチュピチュのような遺跡ですね。

しかし・・・

ここまできれいに残っていると、かえって生々しい・・・」

浄仁《きよひと》大帝は、哀しそうな表情を浮かべた。

「この都市でね・・・

楪の魔女(エレノラ)と僕たちが激しい戦争をしたんだ。」

ジョルジュが、解説する。

「かつて・・・

皆のために尽くした医療分野専門の科学導師がいたんだ。

でも・・・

哀しいことにイカサマ呼ばわりされてね・・・

国どころか、全世界を敵に回してね・・・」

ジョルジュは語った。

かつて、リシテアールであった文明の破壊の大戦争を・・・

「衛星兵器・・・

生物兵器・・・

核兵器・・・

いまや宇宙のトップクラスの惑星も・・・」

「野蛮だと思われるかい？

大帝陛下。」

「いや・・・

あなたのご主人様の「心を棄て、人々に尽くした」気持ち・・・

痛いほど伝わってきました。」

やがて、中核のパスキールパレスに歩を進める。

「どこの国にも・・・

どこの人類も、こうして一つに・・・

融和していったのです。

過去の歴史に倣うのは、当然です。」

浄仁《きよひと》大帝は、微笑んだ。