第2706話 銀河軍新兵器
ヤン・ウォーリー提督旗艦ヒューベリオン・・・
「なぜか」どんなに整備をしても、トイレが一カ所任意に壊れる戦艦である。
ゆえ・・・
「トイレが壊れた戦艦」と嘲笑される、名将の座上艦にあるまじき汚名を被っている。
「さて・・・
ここらで、一発決めようかな?」
ヤン提督は、紅茶を飲む。
「まずい・・・」
確か、紅茶の底に「層」ができるほどユニィシロップをぶっこんだはずだが。
「提督。
健康に悪いので、そのような紅茶は一日で一杯です。」
副官で妻のフレデリカが、ぴしゃりと言った。
憮然とした表情のヤンだが・・・
「目標・・・
ミネル艦隊の左舷。
魔法転移装置、作動!」
「了解!」
オペレーターが応じ・・・
つい最近、キティルハルムから提供された技術をもとに、さらに改良された魔法転移装置が起動する。
ヤン自身が呪文を唱える。
そして・・・
「光輝大燃焼ッ!」
「魔法転移します!」
ヒューベリオンから放たれた強烈極まりない炎が、ミネル艦隊左舷を超高熱で「焼いて」いく・・・
それを横目で見る、ミーニャのコックピット内のナキ。
「名実ともに、さすがはヤン提督にゃ。
伊達に糖尿病予備軍やってないにゃ。」
感心するナキ。
「糖尿病予備軍」はどうでもいい。
ヒューベリオン艦橋・・・
「これも、あの陰陽師崩れの博士のおかげだねえ。
なにせ、キティルハルムの「魔法科学」というのは、常識的な銀河の科学者じゃあ理解不能なほど進んでいるし。」
ヤンは、さっと手を振る。
「あんな連中でも宇宙の同胞だ。
助けてやらんとね。
全砲門開け!
神波動レーザー、ホーイングミサイル発射!」
ヤン:僕の紅茶!
フレデリカ:底に層ができてます!




